04
谷間の発電所――。
見た感じはどこでも見られそうな、のどかな場所だ。
と、聞いてたんだけど……。
「発電所に行く道、聞くの忘れた」
『どうするの、レイナ? 道が分からないと行けないよ?』
「それは分かっているんだよ、焔君。だから困ってるんじゃないか」
……。
私の手持ちにツッコミは不在なのか!
仕方ない、町に戻って人に聞いてみよう……。
『ねぇ、あなたも変な人たちの仲間なの?』
「え?」
ギンガ団のメンバーにしてはありえないであろう甲高い声が聞こえた。
自分たちしかいないことを確認して後ろを振り返れば、そこには1匹のパチリス。
あれ? 何か怒ってる?
『答えて。じゃないと電気浴びせるよ』
『ひっ……!?』
マズい! このままじゃ電気くらって髪の毛が暴発すること間違いなし!
「ち、違うよ! 確かに人間だけど、私たちは無関係だから!」
うん、間違いは言ってないはず……。
分かってくれる……よね……?
『……分かった、信じるよ』
ほっ……。
良かった、信じてくれて……。
『あなた、トレーナーだよね? お願いがあるんだ』
「何?」
『実はあたし、変な人たちに住処を荒らされたの。
他のパチリスやブイゼルたちがほとんど捕まっちゃって……。
この騒ぎのせいか、フワンテたちもこの発電所に遊びに来なくなっちゃったの。
だからお願い! 変な人たちを追い払って欲しいの!』
発電所っていうことは、さっきの女の子の父親もそこにいるはず……。
「ねぇ、パチリス。その発電所に案内してもらっても良いかな!」
『じゃあ、お願いを聞いてくれるの!?』
「もちろんだよ。私の辞書に"助けない"の文字はない!」
『本当!? ありがとう!』
一瞬"辞書って何?"って顔をしたけど、すぐに輝かんばかりの笑顔を見せた。
やめておくれよ、眩しくて直視できないじゃないか……!
『発電所はこっちだよ。着いて来て!』
パチリスに道案内を頼み、発電所へと向かった。
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