01
クロガネジムを制覇し、見事コールバッジを手にした。
翌日に博物館に行くため、早めに眠ってポケモン達の寝顔を見ながら起床する。
……はずだった。
「ん……ふわぁ〜〜〜、朝か……。
焔、博物館行くから準備するよ。來夢も早く起き……て……!?」
焔を起こし、続けて來夢を起こそうとした私の目の前で気持ち良さそうに眠っている1人の少女。
ちょっと待って、誰この子?
他のトレーナーが寝ぼけて部屋を間違えたのだろうか?
とりあえず起こして自分の部屋へ戻ってもらわなくては、と考えながら肩に触れたその時――。
「あ。おはよー、レイナ」
少女が目を覚ました。
しかも、私の名前を呼ぶというおまけ付きで。
その少女が寝ていた位置には來夢がいたはず……。
もしかして……。いや、もしかしなくても……。
『ねぇ、レイナ。この人ってもしかして……』
「焔、それ以上言うな! まずは確認しないと!」
突然のことに混乱する頭を整理し、少女に話しかけた。
「ねぇ、君。
どうして私の部屋のベッドで寝てるの? 部屋を間違えた?」
「何言ってるの、レイナ。
私ずっとこの部屋で寝てたよ」
「念のため聞くけど、君の名前は?」
名前を聞こうとした途端、少女は俯く。
不思議に思って顔を覗き込むと、なんと涙を流していた。
え、私泣かせるようなこと言った?
すっかりパニックに陥ってしまってどうしたものかと思案していると、少女は私にタックルをかましてきた。
壁に頭をぶつけて地味に痛い……。
「嫌だよ、レイナ! 私を忘れないでぇ!」
隣の部屋にいる人に迷惑がかかりそうなくらいの声(幸い、部屋自体は防音だった)で泣く少女を見て確信した。
「ごめん、私が悪かったよ。
だからもう泣き止んで、來夢」
名前を呼ばれて、來夢の表情が輝いたのは言うまでもない。
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