04
呻き声のした方を見ると、ナオトがゆっくりと目を開いているのが見えた。
『……! おいナオト、俺が分かるか!?』
「ひい、ろ……?
……はっ! 僕はどうなって!?」
『ナオト……! 良かった……本当に死んじゃうんじゃないかって、心配したんだからね!』
『"寝坊助"にゃあならなかったな』
銀嶺が珍しく笑った顔で緋色を茶化す。
でもその言動の奥にナオトの無事を喜んでいる感情が読み取れた。
『安心しなパルキウス。あの大穴も時空の歪みも、ちゃんと閉じた』
『だが……ディアーナが目覚めぬのだ』
ナオトの視線が、私の腕に抱き起こされているレイナに注がれる。
彼はレイナの手を握って、静かに涙を零した。
「僕のせいだ……。僕が……彼女を命の危機に晒したようなものだ」
『アンタもギンガ団に利用されていたんだ。何もかもがアンタのせいってわけじゃない』
「だが、僕がアカギへの対抗手段を持ち合わせていたなら……。
レイナまで神子の力を使うことは無かったかもしれないのに……」
すまない。許してくれ。
震える声でそう懇願するナオトの目から零れた涙が、レイナの頬にポタポタと落ちる。
その時、小さな奇跡が起きた──。
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