04


「赤い鎖が……崩れ、無くなってしまった!?
いや、それよりもだ! 銀河が……銀河が消えただと!?」

ディアルガたちが作り出していた銀河が、赤い鎖と一緒に消滅してしまったんだろう。

アカギは酷く取り乱し、その声を怒りで震わせている。

「アカギ、お前の野望はここで終わりだ。
赤い鎖も、銀河も消滅した。最初からお前の夢は、神を愚弄するに等しいものだった!」

「黙れ! 貴様などに、私の夢の何が分かるというのだ!
……許さん。湖のポケモンをもう1度捕らえ、赤い鎖を作り出して……!?」

アカギの声を遮るように、槍の柱全体が暗闇に包まれる。

おぞましいようなその空気に、思わず身震いした。

「何だ、この気配は……。何者かが怒り狂っている?」

「! アカギ様、後ろです!」

マーズの鋭い声に、ぞの場にいる全員がアカギの後ろを注視する。

ポッカリと空いた真っ黒な大穴の中から、影が現れた。

『な、何あれ……? ポケモン……?』

『分からない……。シンオウ神話の文献には、あのようなポケモンがいるとは残されていなかった』

影のポケモンは、おそらく目であろう部分を赤く光らせている。

『我が名はギラティナ。世界の反物質を司る者である。
時と空間を捻じ曲げた人間よ。貴様の所業、断じて見過ごすことはできぬ。
主神の手を煩わせるまでもない。大人しく我が裁きを受け、破れた世界にて永劫に彷徨うが良い』

自らを"ギラティナ"と名乗ったその影は、真っ黒な翼でアカギを包み込んだ。

アカギはギラティナと一緒に、真っ暗な大穴の中へと落ちていく。

ギラティナが私たちを見て、"後は任せるぞ、神子よ"と呟いたのが聞こえた。


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