08


「と、いうわけで。私たちは明日キッサキジムに挑戦します。
氷タイプに打点が取れる焔は確定。他に出たい人は?」

シーン……

だ、誰も何も言わない……だと……!?

「俺はパス。寒ぃし」

タイプ相性だけで言うなら、勇人も誠士も氷は4倍。

誠士は地面技で弱点を突けるけど、勇人は氷タイプに対する有効打が無い。

んー、どうしようかな。

「俺が出る。キッサキのジムリーダーはイノムーを連れていたはずだ。
水タイプの俺なら有利に立ち回れる」

「分かった、じゃあ幸矢にも出てもらうね。最後の1体だけど……」

「私も出るよ」

「え?」

ジム戦への参加を自ら申し出た最後の1人は、來夢だった。

來夢にはいつも私の方からお願いしてたのに、自分から出たいって言うなんて珍しい。

「珍しいね、來夢が自分からジム戦に出るなんて」

「何か理由があるの?」

"そんな大層な理由じゃないけど"と前置きして、來夢はポツポツと話し始めた。

聞けば鋼鉄島での一件から、何故自分がみんなと一緒にいるのかを考えていたらしい。

ポケモンバトルも、勇人や幸矢が率先してやっていることに甘えていたと。

「それに、レイナは自分の過去や正体を知っても逃げようとしなかった。
レイナが前を向いて歩くことを決めたなら、私が怖がってばかりじゃダメだって思ったの。
私、変わりたい。臆病な自分はもう嫌なの」

「……うん、分かった。來夢のその気持ち、とっても嬉しいよ。
よし。來夢、幸矢、焔、明日のジム戦、絶対に勝とう!
後のみんなは応援よろしくね」

「おう、任せろ!」

「みんな頑張ってね!」

「健闘を祈っている」

みんなの心が、1つになった。


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