01
「あなたの退院を許可します。
くれぐれも無茶をして搬送されることが無いように」
「き、肝に銘じます……」
ジョーイさんに釘を刺され、思わず声が尻すぼみになってしまう。
リハビリも滞りなく終わって、晴れて今日で退院だ。
「肩もちゃんと動かせるようになって良かったね」
「うん、ありがとうねナオト。入院してる間ずっとそばにいてくれて、心強かったよ」
「お安い御用さ。……でも、リンゴの皮剥きくらいはちゃんとできるように練習しておくよ」
見てたら指を切りそうで、ずっとハラハラさせられたもんね。
『勇人から"アンタと誠士が大ゲンカした"と聞いた時は、どうなることかと思ったがな』
『それは、その……すまなかった……』
口論のことでジョーイさんとラッキーからのお説教の後。全員が私の病室に集まって、改めて誠士からの謝罪を受けた。
事情が事情だっただけに誰も彼を悪く言うことは無く、みんなの口から出たのは"おかえり"の言葉だった。
その暖かい思いに触れた彼は無意識に感極まったらしく、静かに涙を流していた。
本人は"忘れてくれ"って顔を真っ赤にしてたけど。
「さて、次の目的地はキッサキシティだけど……。
急いでるわけでもないし、今日は街の散策にしようか」
『図書館とジムに行ったくらいで、観光らしいことできなかったもんね』
よーし、今日は港の方にでも行ってみようかな!
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