06
誠士が突然、爪を青白く光らせる。
(あれって、ドラゴンクロー……!?)
その技が狙う標的(ターゲット)は──
「ちょっと待ったーー!」
思わずそう叫んで、床に転がっていたソレを横に蹴り飛ばす。
ま、まさかモンスターボールを壊そうとするなんて!
「何てことするの! 誠士が私たちの仲間だって証なのに!」
『……だからこそだ。私はもう、お前たちの仲間には相応しくない』
何で……何でそんなことを言うの?
誠士は、私たちといるのが嫌になったの?
「どういうこと……?」
『言葉通りの意味だ。私怨に駆られ、怒りと憎しみに飲まれ……。
挙句の果てには、私を"仲間"と慕ってくれたお前たちをも傷付けた』
「だから自分は仲間じゃないって言うの? それは違うよ」
『ではどうすれば良いんだ!?
私は大切なものを守るどころか一方的に蹂躙した。これではただの獣と同じだ!』
誠士の大音声に驚いた勇人がドアを開ける音が聞こえる。
『おい、誠……』
「勇人、まだ入ってこないで!」
物々しい雰囲気を感じたのだろう勇人をピシャリと制する。
誠士は勇人が視界に入っていないみたいに、胸の内を思い切り叫ぶ。
その慟哭は真っ暗の部屋をビリビリと揺るがした。
『私は……お前たちを危うく殺すところだった!
かつて"化け物"と恐れられたこの力がお前たちを壊してしまうくらいなら、今ここで縁を切って1人朽ち果てた方がずっとマシだ!』
「そんな悲しいこと、死んでも言わないで!!」
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