03
『さて、次の話だが……神子よ、もう1度聞きたい。
これから話す内容はお前を深く傷付ける可能性がある。それでも聞くか?』
ディアルガの言葉に、私はまた静かに目を閉じる。
今までに見た夢の中で、未だ何も分からないものがある。
それはナオトと初めて会った日の夜に見た、あの荒野の夢だ。
もしもあの夢が、前世の私たちに深く関わっているのだとしたら。
私の記憶に欠けている最後のピースを、手放したくはなかった。
(私とナオトの、"全て"を知りたい──)
「……うん、聞かせて。
どんな内容だったとしても、私は本当のことを知りたい。
もう真実から目を逸らしたくないし、過去から逃げたくないから」
ディアルガの赤い瞳を真っ直ぐ見つめる。
これが私の本心だと、視線に想いを込めた。
『お前の想いと覚悟、しかと見た。では心して聞いてくれ』
ディアルガの昔語りが始まると同時に、私は思わず両手に力を込めた。
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