02


『ではまず、神子の役割から話そう。時の神子が何なのかは分かるな?』

「うん、ある程度はユクシーから聞いた。
"ディアルガと共に時間を司り、ディアルガの目となって時間の流れを守る人の子"……だったよね?」

『その通りだ。そしてお前には時間の歪みを修復する力がある』

「時間の歪みを修復?」

な、何か話のスケールが大きくなってきたような気がする……。

『例えば未来の時間軸に生きる者が、時間を遡って過去の時間軸に来たとする。
その時点で時間の流れに歪みが生じてしまうのだ。何故だか分かるか?』

「うーん……同じ時間軸に同じ人物が2人いることになるし、その人が本来生きてる時間軸じゃないから?」

『そうだ。故に生じてしまった歪みを修復する必要がある。
そのためにお前の力が必要なのだ』

「えーっと、つまり……。
その時間の歪みを修復するにはディアルガの"時間を操る力"と、私……神子の持つ"歪みを戻す力"の2つが必要ってこと?」

私の返答に、ディアルガは"うむ"と満足そうに頷く。

よし、とりあえずディアルガの話を飲み込むことはできそうだ。

ついていけてるかは正直怪しいけど。

『飲み込みが早くて助かる。
そしてその歪みが大きければ大きいほど、私にもお前にも負担が掛かる。
最悪の場合、お前の命も危うくなるだろう』

「……そっか」

歪んだ時間を繋ぎ合わせるんだもんね。
ディアルガもいるとはいえ、そう簡単には行かないってことか。

『……すまない。怯えさせるつもりは無かったのだが』

「大丈夫。それが時の神子の役割なんでしょ?
怖くないって言ったら嘘になるけど、私が神子として生み出されたのなら私がやらなきゃ。
でも、力の使い方なんて分からないよ?」

『その点は問題ない。神子としての記憶を取り戻しつつある今、問題無く使えるはずだ。
元より"レイナ"としてのお前も、この世界の住人だったのだからな』

「え?」

ヘレナだった頃の私とか、その前の前世とかならともかく……今の私もこの世界で生まれたってこと?

『この世界に生まれたお前と、空間の神子・パルキウスを別の世界に送り込んだのも私とパルキアだ。
これもお前たちを魔の手から守るために必要なことだった』

魔の手って……もしかしなくてもギンガ団のことなんだろうな。

じゃあ、この世界に来る直前に聞いたあの声は……。

『人間の中には私とパルキアの力を手に入れんがために、お前たち神子を利用するものもいたからな。
あやつとも相談の上でおまえたちの記憶に鍵をかけ、別の世界へと送り込んだのだ。
"互いの神子がある程度成長したら、こちらの世界に呼び戻そう"という約定でな』

そうだったのか……。

あの時私の脳内に響いた声は、ディアルガだったんだね。

パズルのピースのように、カッチリとはまった気がした。


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