05
「幸矢、アクアジェット!」
「金属音で妨害するんだ!」
水中での音の伝わる速さを逆手に取られ、幸矢を包んでいた水が霧散していく。
続いて繰り出されたラスターカノンをまともに受けてしまい、バトルフィールドに叩き付けられる。
その様子がとてもスローモーションに見えて、思わず歯噛みした。
ハガネールを相手にしてのバトルは、想像以上に苦戦を強いられていた。
というか、私がハガネールの硬さに対して無知だったって言うべきかな。
確かにハガネールは水タイプが弱点だ。でもトウガンさんのハガネールは物理耐久が圧倒的に高くて。
アクアジェットやアクアテールで体力を削ろうとしても、そのダメージをハガネールはモノともしない。
次第に、自分の精神が追い詰められていくのを感じた。
(こうしてる間にも、ナオトは次のジム戦に向けて着実に実力を積んでいってる。
このままじゃ、肩を並べるどころか今以上に距離を離されちゃう。そんなの嫌だ……!)
この自分の感情が、焦燥感が。ライバル心から来るものなのか、それとももっと別の感情から来るものなのか。
(分からない……)
どうすればナオトに追いつけるのかも、今自分が抱えている感情の正体も。
"自分"が……分からない――
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