04
「レアコイル、ラスターカノン!」
「火炎放射で迎え撃って!」
ラスターカノンと火炎放射が激しくぶつかる。上空で立ち上る黒煙を、私はチラッと見つめた。
結局約束の時間に間に合わず、1分遅刻。
でもジムスタッフさんが話を付けてくれたみたいで、"うちのポケモンが世話になったな"って笑ってくれた。
バトルフィールドに立ったトウガンさんは、昨日見せた"父親"の一面は鳴りを潜めていて。
チャレンジャーの前に立ちはだかる壁――そんな雰囲気がズシリと私の肩にのしかかった。
「トライアタック!」
「レアコイルを攪乱するよ、誠士!」
『心得た』
誠士が持ち前のスピードを活かして、バトルフィールドを縦横無尽に走り回る。
一瞬の隙を見逃さず大地の力を叩き込み、レアコイルは目を回して倒れた。
まずは1勝。次に繰り出されるのは……
「よくやったなレアコイル、後は任せろ。
……よし。では行くぞ、ハガネール!」
(来た……!)
やっぱり戦力に入ってた、ハガネール。1度誠士をボールに戻して、次のボールを手に取る。
そして思い切り投げた。
「幸矢、レッツゴー!」
幸矢はバトルフィールドに立つと、真っ直ぐにハガネールを見据える。
その眼に宿る闘志を感じ取ったのか、ハガネールもそれに応えるように雄叫びを上げた。
(ヒョウタさんのイワークも大きかったけど、その進化系ともなるとサイズも桁違いだなぁ)
あと身体が大きいと声量も大きいから、雄叫びが鼓膜に響いて耳が痛い。
「ふむ。良い眼をしているな、君のポケモンたちは。
だがやる気だけでは、ワシらの鉄壁の守りは崩せんぞ。さぁ、続きを始めようか」
そう言ってニヤリと笑う。その表情の中に余裕さえ感じてしまって、私は思わず生唾を飲んだ。
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