03
「おーい、タテトプス! どこに行ったんだー?」
どこからか聞こえてきた、タテトプスを呼ぶ男性の声。
もしかしたら、この子のトレーナーかも!
「あの、すみません! タテトプスのトレーナーさんですか!?」
「タテトプスを見たのかい!? あれ、君は確か……」
タテトプスを探していた男性は、昨日ミオジムにいたジムスタッフさんだった。
あの子、ミオジムのポケモンだったんだね。
私は急いでタテトプスのところに連れて行って、事の経緯をざっくり話した。
「そうだったのか。タテトプスを助けてくれてありがとう」
「いえ、すぐに見つけられて良かったです。
どうやってミオジムまで連れて行こうかは悩みましたけど」
「あぁ、今日ジム戦の予約を入れていたのは君だったのか。トウガンさんが準備を整えて待っているよ。
タテトプスは俺が抱えて行くから、受付をしてくると良い」
"すぐにまた会うことになるけどね"と笑ったジムスタッフさんは、軽々とタテトプスを抱えてジムに走っていった。
「……50数kgを軽々抱えてったな。俺も筋トレメニュー増やした方が良いか?
よしレイナ、俺に横抱きされてみてくれよ」
「何で!?」
ジリジリと近付いて来る勇人から距離を取るように後ずさる。
よし、じゃないよ! "横抱き"って"お姫様だっこ"ってことでしょ!?
イケメンにそんなことされてみなさい、ジム戦どころじゃなくなるよわたしゃ!
『おい、油を売っている暇は無いぞ』
「そ、そうだね! よし、ミオジムに向かおうか! 約束の時間までは……あと1分しか無い!?」
その後、ジムまで全力疾走することになったのだった。
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