02


「はぁ、やっとテスト終わった〜!」



何でテストなんてものがあるのか全く理解出来ない。

この世から消えてなくなれば世界中の学生が救われるよ。

誰に対してでもなく、1人ごちた。



私はレイナ。

どこにでもいるような普通の女子高生だ。

「さってと、早く家に帰ってポケモンやろう!」

家での楽しみを想像して満面の笑みを浮かべ、私は自宅へと足を進めた。





家に帰った私は一目散に自分の部屋へと駆け上がり、机の上に置いてあったゲーム機を手に取ってベッドにダイブした。

電源を入れてソフトを起動させ、自分のポケモンを確かめた。

「うん。どの子もちゃんと体力回復してあるし、持ち物もバッチリ!
それにしてもランクルスほんとに可愛いよな〜! 何であんなに愛くるしいんだ〜!」

下から"静かにしなさい!"っていうお母さんの声が聞こえたけど気にしない。

「そういえば、DPtも面白いよって友達が言ってたなぁ……。
確かシンオウ地方を旅するんだっけ? 今からでも買おうかな……」





『その必要はない』

「!?」



急に声が聞こえたような気がして、思いっきり後ろを振り返る。

しかし、後ろにはカーテンがあるだけで窓の鍵も閉めている。

『今から買う必要はない。何故ならお前はシンオウ地方へ行くのだから』

さっきと同じ声――。

しかも、直接私の脳に語りかけているようだ。

「誰? シンオウ地方に行くってどういうこと?」

『すまないが、長話をしている余裕はない。
こうしている間にも時間と空間の調和が乱されようとしている。
お前の力が必要なのだ』

話に全くついていけていない私は、突然の出来事に目を白黒させることしかできない。

その時、鍵を閉めていたはずの窓が開いて強風が巻き起こり、画面を白く光らせたゲーム機に吸い込まれる。



『頼む……あの世界を守ってくれ』



名も知らない誰かの声が聞こえた後、私は意識を手放した。


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