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それに、とトウガンさんは続ける。

「ワシら夫婦に子どもは息子しかいない。
だから君を見ていると、"自分に娘がいたらこんな感覚なのだろうか"と思ってな」

ヒョウタさんって何歳なんだろう?

ビックリするほど歳は離れてはないと思うから、私くらいの娘さんがいても別段おかしくはないか……。

「私、小さい頃からシングルマザーの家庭で育ってきたので父親がいなくて。
だから今こうしているのも、家族で外食してるみたいで楽しいです。
お父さんがいたらこんな感じなのかなって」

普段ふたまわり以上年上の人とご飯食べることは無いし、元の世界では1人だったからなぁ。

お母さんは仕事が忙しくて、遅くまで働いてたし。

"父親"と呼べる人と過ごしたことがない私にとって、トウガンさんと一緒に食事するこの時間は感慨深いものがあった。

「……そうか。
ワシもな、息子にはそろそろ良い人を見つけて欲しいと思っているんだが……。当の本人は全くその気が無いみたいでな」

すると突然、トウガンさんがパッと何か閃いたような表情になる。

「そうだ! レイナ君、ヒョウタと付き合って見る気は無いか?」

「ゴフッ!?」

思いも寄らない斜め上の発言に噎せてしまう。

何とかラーメンを噴き出すのは阻止した。

「な、何言ってるんですか!?」

「見たところアイツと歳も近いだろうし、何よりポケモンたちに慕われているんだ。
君であればアイツの嫁に申し分ないと思うんだが、どうだね?」

「どどどどうと言われましても!?」

私とヒョウタさんじゃ釣り合わないよ!

ヒョウタさんはイケメンだからともかく、私は美女でも何でもないからね!

というか全国のヒョウタさんのファンを敵に回しそうで怖い!

(それに……)

ふと脳裏にナオトの顔が過ぎる。

って違う! ナオトとは友だちであって!

「ダメだよトウガンさん。レイナにはナオトがいるもん!」

「ちょっと笑理!」

今だけはその素直さがちょっと恨めしいよ!


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