01
コトブキシティを出発した船が大海原を進んでいく。
水面は太陽の光を受けてキラキラと輝き、キャモメやぺリッパーが併走するように空を飛んでいる。
"この船は間もなくミオシティへ到着いたします。本日はご乗船いただき、誠にありがとうございます"
潮風を受けながらキャモメたちを眺めていたら、船内アナウンスが響く。
新しい目的地へ降り立つことに、私の心は浮き足立った。
「いよいよだね、ミオシティ」
「あぁ、そうだな」
「ミオシティってどんな街なんだろうねぇ?」
「美味しいものがたくさんあると良いなぁ」
「もう焔、笑理。楽しみなのは分かるけど、今日は図書館に行くんだよ」
「今日ジム戦するんじゃないのか!?」
「ジム戦は明日にするよ。今日は予約しに行くだけ」
勇人が少しだけ不満そうに"ちぇー"って零す。
彼には悪いけど、毎回ぶっつけ本番は避けたい。先方のスケジュールもあるしね。
「私としてはタイプ相性もしっかり考慮したいからさ」
「タイプ相性……。それならアンタは苦戦することになるな」
「え、何でだよ?」
「ミオジムのジムリーダーは鋼使いだと聞いた。ドラゴンタイプの技は全部半減されるぞ」
おぉ、突然のグッドインフォメーション。他のトレーナーと旅した経験からなのか、幸矢って結構色々知ってるよね。
「鋼タイプって、マジか……」
「ついでだから言うが、北にあるキッサキジムは氷タイプ専門だ」
キッサキジムって氷タイプなんだ……。勇人は火の粉を忘れちゃったし、ボーマンダに進化したら誠士と揃ってダメージ4倍になっちゃうなぁ。
案の定、その話を聞いて勇人がショックを受けている。
"ジム戦以外でもバトルはできるから"って宥めながら、船を降りる準備を始めた。
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