05
抱え込んだ物をみんなに話してスッキリした後。
部屋にまた賑わいが戻った。
笑理と來夢はお絵描きをやめてファッション雑誌を読んでるし、焔と勇人はシンオウ・ナウを見ながらチラチラとキッチンを気にしている。
誠士は料理中だし、幸矢はひたすら刺繍糸を使って何かしていた。
誠士の方でも手伝おうかな、とキッチンに向かおうとした時だった。
「あ、そうだ。レイナ、これもうダメかな?」
そう言って取り出したのは、1枚のハンカチ。
縁の部分が解れて、隅の方に大きな汚れが目立ってしまっていた。
「あー……。そうだね、こんなになると買い替え時かも」
「やっぱりそうだよね……。
初めてレイナに買って貰ったから、お気に入りだったのに……」
肩を落とす來夢に"また新しいのを買ってあげるから"と励ます。
するとそれまで黙々と作業を進めていた幸矢が、こっちを振り返った。
「……見せてみろ、來夢」
「え……?」
「そのハンカチ」
言葉少なにそう言った幸矢はハンカチを受け取ると、しばらくの間じっと眺めた。
「これくらいならまだ何とかなる。しばらく預かるぞ。
……おい、來夢の原型の写真か何かあるか?」
「え? データはあるけど……ちょっと待って」
幸矢に貸していたポケモン図鑑でランクルスのページを開き、彼に見せる。
しばらく預かる、とハンカチと一緒に持っていってしまった。
何をするんだろう?
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