07
『キャアッ!
後ろから狙うなんt……って嫌ああアアア! 私の自慢の羽があぁぁぁ!』
『目先のことに囚われて、背後が疎かだぞ』
ビークインの羽を凍らせた張本人──ブイゼルが私たちとビークインの間に割って入った。
「君、あの時のブイゼル君?」
『話なら後にしろ。まずはあのビークインを叩く。
指示はアンタ任せるから、俺を好きに使え』
「だ、だけど……」
『そのコモルー以外に戦えるヤツがいるのか?』
「うっ……。分かったよ……」
痛いところ突くな、この子……。
でも私に指示を一任する辺り、やっぱり元々はトレーナーのポケモンだったのかな。
ブイゼル君を図鑑でスキャンして、使える技を確認する。
よし、これでオッケー。
「水鉄砲!」
ブイゼル君の放つ水鉄砲がビークインに直撃する。
それに怒ったビークインが、ミツハニーとは違う小さな虫たちに攻撃の指令を出した。
『突破するぞ』
「ぅえっ!? う、うん! アクアジェット!」
ブイゼル君は虫やミツハニーたちには目もくれず、凄まじい勢いでビークインに向かっていく。
これはアレか。頭を叩けば自然に瓦解する、的な……。
よろけたビークインが虫たちを自分の周りに呼び寄せ、回復するように指令を出した。
「回復される前に何とかしなきゃ……! "冷凍パンチ!"」
『これで終わらせてやる……!』
ブイゼル君渾身の冷凍パンチを受けたビークインが目を回して倒れた。
その周りでミツハニーたちが、"女王様が倒されたぁ!?"とアタフタしながら飛び回っている。
『終わったか……』
「おーい、レイナー!」
聞こえてきた呼び声に目を向けると、來夢たちがこちらに走ってくるのが見えた。
「みんな、来てくれたんだ!」
「レイナまでなかなか戻らないから、森のポケモンたちに聞きながら探していた」
随分心配して掛けちゃったんだな。反省しないと……。
「良かったぁ……。心配したんだよ」
「レイナ、大丈夫? ケガしてない?」
「大丈夫だよ、ありがとう。
勇人も見つかったし、急いでポケモンセンターに戻らないとね」
「ねぇ、あれってビークイン?」
焔がビークインを見て不思議そうにしている。
そうだった、忘れるところだったよ。
バッグの中からナナシの実と復活草を取り出し、ミツハニーに渡す。
すっかり元気を取り戻したビークインは、ミツハニーたちと一緒に住処へ戻って行った。
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