07


「あ、おかえり勇人。体はもう大丈夫?」

「……おぅ」

その表情はすごく暗くて、いつも明るい彼とは別人みたいだった。

ブイゼル君に言われたことが相当こたえているのか、声にも覇気が無い。

「……あの……元気出して、勇人」

「あんな酷いヤツの言うことなんて気にしちゃダメだよ!」

「……」

「今日の晩ご飯、勇人の好きな物作ってくれるって!
僕も手伝うから楽しみにしててよ」

「……悪ぃ、今日は晩飯いらねぇわ」

あの勇人が、晩ご飯を断った……!?

普段の彼ならまず言わないだろう発言に、私たちは驚きを隠せない。

「しかし、少しでも食べた方が良い」

「食う気になれねぇんだよ。俺の分は焔に食ってもらってくれ」

「勇人、みんな心配してくれてるよ。
それにさっきのバトルのことだって、勇人が悪いわけじゃないんだから。
また一緒に次頑張ろうよ、ね?」

そう言いながら肩に乗せた手を、勇人はパシンと叩き落とした。

彼らしくない行動に、思わず目を見開いてしまう。



「頑張るって……あれ以上どう頑張れば良いんだよ!
あん時だって俺は精一杯戦った、全力を出し切った! それであのザマだ!
分かってんだよ、タツベイの頃と何もかも違うことくらい……。
どう戦えば良かったのか、どうすれば勝てたのか……。
もう頭ん中がグチャグチャで、訳が分かんねぇんだよ!」



自分の抱えるモヤモヤとした感情を吐き捨てるように叫んだ勇人は、誠士の制止も聞かずにポケモンセンターを飛び出して行ってしまった。


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