09
最終戦 フローゼルVS緋色君──
素早い身のこなしでバトルを展開するフローゼルに、ナオトたちは苦戦を強いられていた。
緋色君が攻撃を仕掛ければ水の中へ潜り、フローゼルは着実に緋色君の体力を削っていく。
プールを利用してのヒットアンドアウェイ戦法に、緋色君は手も足も出ない。
『っだあああ、クソっ! ちょこまかちょこまかとプールに潜りやがって!』
「落ち着け、緋色! ヤケになったら相手の思うツボだぞ」
『分かってらぁ!』
……このままケンカに発展したりしないよね、大丈夫?
「さぁ、次で決めるぞぉ! フローゼル、アクアジェット!」
フローゼルが緋色君に向かって真っ直ぐ突っ込んでいく。
「今だ緋色! 水面にシザークロス!」
『うおっ!?』
突然飛び散った水しぶきに驚いたフローゼルの動きが一瞬だけ鈍る。
ナオトはその隙を見逃さなかった。
「アイアンヘッド!」
今度は緋色君が真っ直ぐ突っ込んでいき、フローゼルのお腹にアイアンヘッドをお見舞する。
「シザークロスで投げ飛ばせ!」
『あいよ!』
緋色君がシザークロスの勢いを使って、フローゼルを上空へ投げ上げる。
その間に剣の舞で攻撃力を強化した。
「体勢を立て直せ! アクアジェットだぁ!」
「これでフィニッシュだ! シザークロス!」
マキシさんとナオトの号令が、バトルフィールドを震わせる。
(……あれ?)
今、ナオトが別人に見えた気がした。
漆黒の鎧に、足首ほどまである紅いマント。
中世の物語に登場するような騎士の姿が、ナオトに重なって見える。
でもそれはほんの一瞬で、瞬きをするといつものナオトの姿に戻っていた。
(何だったんだろう?
幻覚を見るなんて疲れてるのかな、私……)
「……? レイナ、どうしたの?」
「何でもないよ。それより、勝負の結果は……」
バトルフィールドへ意識を戻した頃には、ナオトの勝利を告げる審判のコールが響いていた。
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