07
ノモセジムのバトルフィールドは、今までに見たどのジムとも違っていた。
フィールド全体が大きなプールになっていて足場が所々にあるなど、いかにも水タイプ専門のジムらしい。
焔は、今回お留守番の方が良いかな?
ジム戦の準備が整ったらしいマキシさんとナオトが入場してくる。
ナオトはいつもの穏やかな表情ではなく、緊張した面持ちで立っていた。
(そういえば、ナオトがバトルするとこ初めて見るな……)
どんなバトルになるのか楽しみな気持ちと、ナオトに勝って欲しい気持ちがふつふつと湧き上がってくる。
今回は勇人の頼みもあって、全員がボールから出てきてのバトル観戦だ。
「よぉーく来たッ!!
俺様こそがノモセシティポケモンジムのジムリーダーでぇ、その名もマキシマム仮面!」
「マキシさん、よろしくお願いします!」
「うん、良い返事だぁ!
水の力で鍛えた俺様のポケモンはぁ、お前の攻撃を全て受け止めた上で勝利するから掛かって来ぉい!
行くぞぉ、ギャラドス!」
『おぅよ! 任せな、兄弟!』
「頼むぞ、天馬!」
『任せて!』
マキシさんとナオトのジム戦が始まった。
ギャラドスVS天馬君──
水タイプのギャラドスを相手に、炎タイプのポケモンを繰り出したのはマキシさんも想定外のようだった。
ナオトのことだから、何か考えがあってのことだと思うけど……天馬君、大丈夫かな?
「よし、先手は君に譲るぞぉ!」
「では遠慮なく行かせてもらいます。
天馬、日本晴れだ!」
『OK!』
日本晴れによって、バトルフィールドの上空に小さな太陽が輝く。
……なるほど、水タイプ技の威力を下げる作戦ってわけか。
「ギャラドス、竜巻でポニータを吹き飛ばせぇ!」
『おぅ!』
凄まじい風力の竜巻で上空に投げ出されてしまった天馬君。
続いての滝登りをもろに喰らってしまい、バトルフィールドに叩き付けられる。
「大丈夫か、天馬!」
『うぐっ……大丈夫……!』
「……体力をリカバリーするぞ。朝の陽射し!」
「レイナ、朝の陽射しってなーに?」
「太陽の光を吸収して、体力を回復する技だよ」
朝の陽射しは陽射しが強い時に使うと、回復量が多くなる。
最初に日本晴れを指示したのは、このためだったんだね。
『……よし、元気出た!』
「今度はこっちから攻めるぞ! 飛び跳ねる!」
ナオトの指示を受けて、天馬君が高く跳び上がる。
太陽の光を直視してしまうせいで、ギャラドスは天馬君の姿を追えないみたい。
そのまま天馬君の蹄が、ギャラドスにクリーンヒットする。
少し……いや、かなり痛そう。
「もう1度竜巻で投げ上げろぉ!」
再びフィールド内に強風が吹き荒れる。
小柄な天馬君は軽々と上空へ吹き飛ばされてしまった。
「2度も同じ手は通用しませんよ!
天馬、火炎車だ!」
『うんっ!』
天馬君が軽やかなステップで火炎車の連撃を決めていく。
これにはさすがのギャラドスも堪えたらしく、大きな身体をプールへ沈めて目を回した。
「ギャラドス、戦闘不能! ポニータの勝ち!」
審判のコールが響くと同時に、天馬君がナオトの所へ駆け寄っていく。
労いの言葉を掛けられた天馬君は、嬉しそうにモンスターボールへと戻っていった。
「俺様のギャラドスを倒すとは、よく育てられているな!
だが次はこうは行かないぞぉ! 行け、ヌオー!」
「ヌオーか……。だったら、頼むぞ疾風!」
ヌオーと疾風君のバトルが始まった。
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