06

「はぁ、面白かった!」

大湿原の雄大な自然を満喫して、受付へ戻ってきた私とナオト。

「そうだね。歩き回って疲れてないかい?」

「大丈夫。ナオトに比べたらまだまだだけど、旅で足腰は鍛えられてきてるからね」

口を開けたまま寝ていたマスキッパが飛び起きてきたのは、さすがにビックリした……。

この街はグレッグルというポケモンがマスコットになっているらしく、街中の至る所にグレッグルのパネルや木像が設置されていた。

お土産屋さんにグレッグルのクッキーやぬいぐるみもあったっけ。

ノモセジムに向かって2人で歩いていると、どこからか歌声が聞こえてきた。

男性が歌っているのか、かなり声が野太い。



「リングは俺の海♪ 荒れる海原、大波小波♪
マックス! マックス! マキシマム!
マックス! マックス! マキシマム!
ウォーターストリーム、全てを流し去る!」



「「……」」

あの、色々とツッコミどころ満載なんですが……。

街の人たちにとっては日常的なことなのか、気分良く歌っている男性を見てニコニコと笑っている。

子どもたちに至っては、"あ、マキシマム仮面だ!"と憧れの眼差しを向けていた(特に男の子)。

「……ナオト、この街のジムリーダーの名前って知ってる?」

「確か、マキシという名前だったと思うよ。
本業はプロレスラーで、"マキシマム仮面"というリングネームを名乗っているんだったかな……?」

「ってことは、やっぱりあの人がジムリーダー?
さっき子どもが"マキシマム仮面"って言ってたし……」

渦中の人物ことマキシさんは、歌を歌いながらズンズンとこちらへ向かって歩いてくる。

「炎を消し去れマキシマム! 電気は苦手だマキシマム!
あーあーあー、リングは俺のう……お?」

あ、目が合った。

「そこの少年少女! この街では見ない顔だなぁ!」

……たぶん、私とナオトのことだよね?

「初めまして、マキシさん。いえ、マキシマム仮面とお呼びした方が良いですか?」

「どちらでも構わんぞぉ! 俺様としてはマキシマム仮面の方が良いがなぁ!」

声デカっ!? さすがはプロレスラー……。

「僕はナオト、ジム巡りをしているトレーナーです。
今日はノモセジムの挑戦に来ました」

「おぉ、ジム戦かぁ! 受けて立つぞぉ!
で、そこの少女! 君の名前も聞かせてくれないか?」

「えっ!? あ、レイナです。初めまして、マキシさん」

いけない、いけない……。

完全にマキシさんのペースに飲まれて、自己紹介忘れてたよ。

「よし、ではノモセジムに向かうかぁ!」

再び大声で歌いながら歩き出したマキシさんの後を追って、ノモセジムへと向かった。

(一緒に歌うか! って言われたけど、丁重にお断りした)


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