05
「えっ、1部屋しか空いてないんですか!?」
「申し訳ありません。すぐにご案内出来るのは、そのお部屋だけなんです……」
ホテル・グランドレイクで部屋を取ろうとしたものの、1部屋しか空いていないという現実を突き付けられた私たち。
しかもその部屋は……
「だ、ダブル……」
そう、空いているのはダブルの1室だけ。
ということはつまり、ベッドを2人で使わなければならない。
朝にあんなことがあった日の夜に、ナオトと同じベッドだなんて……!
「……仕方ない、今日はその部屋に泊まるしかないね。
僕は寝袋を使うから、レイナはベッドを使って良いよ」
「床になんて寝かせられないよ! 私が寝袋使うから、ナオトがベッド使って!」
「それを言うなら僕だって、女の子を床に寝させるわけにはいかない!」
フロントでギャイギャイと言い合いを始めた私たちを前に、どうしたものかとオロオロするホテルスタッフ。
周りのお客さんから見れば傍迷惑な光景に、呆れ顔の緋色君がボールから出てくる。
擬人化して鍵を受け取り、問答無用で私たちを部屋へ引き摺って行ったのだった。
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