03
結局何も喋らないまま、リッシ湖の近くまで来た。
リッシ湖って確か……アグノムっていう、青いポケモンがいる湖だったっけ?
青い……ポケモン……。
以前見た、暗闇での夢を思い出す。
私を"神子"と呼んだ、あの青い光──。
(まさか、ね……)
脳裏に過ぎった1つの可能性を振り払う。
相手は意志の神と呼ばれるポケモンだ。
シロナさんみたいに凄腕のトレーナーならともかく、私みたいな一般のトレーナーに接触してくるとは考えづらかった。
いや、"そんなことあるわけない"って心のどこかで思いたがってるのかもしれない。
『そういえばナオト、この前見た"夢"って結局何だったの?』
天馬君の口から飛び出した"夢"のワードに思わず反応する。
いやいや、まだ早まるな。
彼の見た夢が、私と同じものとは限らないじゃないか。
「え? ……あぁ、あの夢か」
珍しくナオトが困ったように言い淀んでる。
あんまり思い出したくない夢なのかな?
『"夢"といえば、最近レイナは夢見が悪いと言っていたが……。
あれからどうだ?』
今それを聞くのかい、誠士。
「うーん……。悪夢ってわけじゃないから、困ってはないんだよね。
不思議な夢ではあったけど」
『不思議な夢……?』
『どんな夢だったんだ?』
「えっとね……」
私は記憶を辿って、暗闇の夢のことをみんなに話した。
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