01

ナオトと一緒に、ポケモンセンターに宿泊した翌朝。

いつものように勇人に起こされた私は、朝食を作っていた緋色君に頼まれてナオトの宿泊部屋に向かう。

ナオトは毎朝のランニングが日課みたいで、そろそろ戻ってきた頃だろうって緋色君は言ってた。

(朝からランニングって、すごいな……)

眠気に弱い私には無理そうだな、なんてことを思いつつドアをノックする。

「ナオト、いる?」

……返事がない。

物音はしてるから、いるのは確実なんだけど……。

「入るよー?」

一応、一声かけてからドアノブを回す。

中に入ってみるけれど、ナオトの姿は無かった。

(……もっかい食堂に戻ってみようかな)

そう思って踵を返した時だった。



カチャッ



背後でドアの開く音が聞こえた。

「あれ。来ていたのかい、レイナ?」

聞こえてきたのはナオトの声。やっぱり部屋にいたんだね。

「おはよう、ナオト。緋色君に頼まれて呼びに……」

振り返った私の視界に飛び込んで来たのは、上半身裸のナオトの姿だった。

首にタオルを掛けていて、髪からは水滴が落ちている。

誰の目から見ても、シャワーを浴びた直後であろうことは明らかで……。

身体中の熱が、一気に顔へ集中する感覚がした。

「うわあっ!? ちょっ、早く服着て!」

「え? ……あっ、ごめん!
すぐに着替えて行くから、先に食べててくれ!」

逃げるようにナオトの部屋を後にし、背中を壁に預けてズルズルと座り込む。

きっと、今の私の顔はマトマの実みたいに真っ赤になっているんだろう。

(結構、鍛えてるんだな……。って、何考えてんの私!?)

頭を抱えながら顔の火照りが収まるのを待つ。

様子を見に来た來夢と天馬君に、"熱があるの!?"と心配されたのだった。


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