07
カンナギタウンの漢方屋さんに入り、ナオトの買い物に付き合った。
店員の老夫婦は、私とナオトを見てカップルだと思ったらしい。
"若いって良いわねぇ"とにこやかに言われ、2人揃って顔を真っ赤にして勇人と緋色君に揶揄われた。
でも満更でなかったのも事実で、ナオトといる時間はとても楽しいし、アカギから私を助けてくれた時の彼は……とてもカッコ良かった。
無事に買い物を終えて、漢方屋さんを出る。
空はオレンジ色に染まっていて、もうすっかり夕暮れだった。
「僕の買い物に付き合ってくれてありがとう、レイナ」
「ううん。私も楽しかったし、気にしないで」
「君はこの後どうするんだい?」
「今日はここで一泊して、明日からノモセシティに向かうつもりだよ」
「……そのことなんだけど、僕の次の目的地も同じなんだ。
だから、ノモセシティまで一緒に行かないかい?
ポケモンたちがいるとはいえ、やっぱり君のことが心配だから」
「……!」
どうしてだろう。ナオトの一言一言に、変に意識してしまう。
漢方屋さんでカップルに間違われたからだ、きっとそう。
ナオトは単純に"女の子の一人旅"を心配してくれてるんだと思うけど、断る理由は見つからない。
(それに……)
もう少し長く、ナオトと一緒にいたいと思う自分がいる。
「ありがとう、ナオト。じゃあ、お願いしても良いかな?」
「もちろん。
……暗くなってきたね。ポケモンセンターに戻ろうか」
「うん!」
彼の隣に並んで、ポケモンセンターへと続く道を歩く。
転ばないようにと繋いでくれたナオトの手は、大きくて暖かかった。
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