03
ポケモンセンターで朝食を取った後、私はズイタウンへ向かっていた。
本当はノモセシティに向かうつもりだったけど、カンナギの遺跡を見学していないことを思い出したのだ。
歴史的な遺物や史跡が好きな私にとって、カンナギの遺跡を見に行かないのは愚の骨頂!
……というわけで、急遽予定を変更してカンナギタウンに行くことにしたのだ。
それは良いんだけど……。
「どうしよう、これ……」
今、私の目の前にいるのはコダックの群れ。
全員が頭痛に悩まされているらしく、頭を抱えて"あ゛ー"だの"う゛ー"だの"いでぇー"だの呻いている。
つまりこのコダックたちの頭痛をどうにかしないことには、カンナギタウンへは行けないわけで……。
『ねぇレイナ、コダックたち治してあげられない?
このままじゃ可哀想だよ』
「治してあげたいのは山々だけど、ポケモン用の頭痛薬なんて持ってないし……」
為す術無しかー、と途方に暮れていたら……。
「あれ、君レイナさんよね?」
ズイタウン方面の道から、シロナさんが歩いて来た。
「シロナさん!?」
わぁ、相変わらずスタイル良くて羨ましい。
私にももう少し身長があればなぁ。
「こんな所で会うなんて奇遇ね。どうしたの?」
「カンナギタウンに行きたいんですけど、コダックたちが道を塞いじゃってて……」
「……頭痛に悩まされているのね。それならこれを使ってあげて」
シロナさんから、丸薬のようなものを受け取る。
コダックたちに飲ませると、さっきまで頭を抱えて呻いていたのが嘘みたいにスッキリとした顔で帰っていった。
『良かった、みんな笑ってたね』
『うん!』
「シロナさん、ありがとうございました」
「良いのよ、気にしないで。
それより、レイナさんはカンナギに行くのよね?
1つお願いがあるんだけど、良いかしら?」
さっきのお礼も兼ねて快く承諾すると、シロナさんは私にお守りのような物を渡してきた。
木で出来た、勾玉……?
「それをカンナギにいるお祖母ちゃんに渡して欲しいの。
私のお祖母ちゃん、カンナギの長老だからすぐに分かるわ」
「分かりました。必ず届けます」
「ありがとう! それじゃあレイナさん、またどこかで会いましょう」
トゲキッスの背に乗って去っていくシロナさんを見送って、再びカンナギへと向かった。
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