01
その日の夜、夢を見た。
見渡す限りの真っ暗な空間。 その真ん中と思しき場所に、私は立っていた。
「ここは……?」
『……子。……神子』
「……?」
何か聞こえる。
誰かを呼んでいるような声だ。
声のする方向へ向かって、宛ても無く歩いていく。
『神子……』
今度はハッキリと聞こえる。
でも声の主の姿は見えず、代わりに青い光が空中に浮かんでいた。
「私を呼んだのは、君?」
私がそう問いかけると、青い光は肯定するようにチカチカと瞬いた。
『時間を司る神子・レイナ、やっと会えた。
君を探していたんだ』
「私を? というか、君は誰なの?」
『ごめん、今は僕の……いや、"僕たち"の正体を明かすことは出来ないんだ。
だけど神子、覚えておいて。
君はこれから先、君自身の運命とこの世界の危機に直面することになる』
運命……? 世界の危機……?
唐突すぎる内容に頭が追い付かない。
「それってどういう……。それに、神子って?」
『時間が来たみたいだ。
それじゃあね、神子。また時が来たら会いに来るよ』
「え、ちょっと待って……!」
謎の声はそれだけ言うと、闇の中に溶けていくように光と一緒に消えていった。
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