03

スタッフさんが持って来てくれた道具と材料を受け取り、ナオトの隣に座る。

忙しそうに動き回っているスタッフさんの代わりに、緋色君がレクチャーしてくれることになったのだ。

えっと……まずは水に小麦粉を入れて、刻んだ木の実を入れて……。

ちなみに入れる木の実は、笑理のリクエストでモモンの実にした。
誠士は「好きな味で作って良いよ」って言ったら、カゴの実をチョイスしていた。

渋い味が好きなのかな?

「刻んだ木の実を入れたら、速過ぎず遅過ぎずのスピードで混ぜる」

「……こうかな?」

「ちっと速いな。もう少しゆっくり……そんな感じだ。
誠士はもう少し速くても良いぜ」

緋色君に教えられた通りのスピードで、グルグルと鍋をかき混ぜていく。

少しでも油断すると焦げ付いてしまいそうで、私も誠士も緊迫した空気を背負いながら作業に集中した。

「お前ら、筋が良いな。さすが普段から料理やら菓子作りやらしてるだけあるわ。
ナオト、せっかくだから2人が作ってるとこをしっかり見とけよ」

「あぁ、よく勉強させてもらうよ」

誰かにじっくり見られながら調理するのは少し照れくさかったけど、美味しいポフィンを作るためだと目の前の作業に没頭した。


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