06
「そのポケモンは……始めて見ますね。
特徴から推測するに、エスパータイプでしょうか?」
スモモちゃん、すごいな……。
始めて見るポケモンのタイプまで分かっちゃうなんて。
「ご名答。エスパータイプのランクルスだよ。
シンオウには生息してないから、珍しいかもね」
「なるほど、弱点を突いてきましたか。
格闘タイプを相手にする上でエスパータイプや飛行タイプで優位に立つのは当然のセオリーです。
しかし、相性の優劣を覆してこそ高みを目指せるというもの!
次はこちらから行きます! 岩石封じ!」
岩タイプの技……だったらこっちは!
「ドレインパンチ!」
『んなっ!?』
ドレインパンチで大きな岩が砕け散る。
スモモちゃんとゴーリキーは、まさかエスパータイプの來夢が格闘技を使うとは思ってもみなかったんだろう。
目を丸く見開いて唖然としている。
「驚きました……。ドレインパンチを覚えているんですね」
『……っは……。面白くなってきたな!
ランクルス、っつったか? なかなかやるじゃねぇか、嬢ちゃん!』
ゴーリキーが突然大声を出したからか、來夢の肩がピャッ! と跳ねる。
ゆっくりとこっちを振り返ったその顔は、少し涙目だ。
「來夢、ちょっとこっちおいで‥…ぐっふ!?」
おいでとは言ったけど、捨て身タックル並みのスピードで突っ込んでこられると流石に痛い。
意識飛ぶかと思った……。
「大丈夫だよ來夢。私もいるし、みんなも応援してくれるから」
『そうだよ來夢! 僕たちもいるよ!』
『來夢がんばれー!』
『落ち着いて行動すれば、きっと勝てる』
『もし負けても、俺が敵取ってやるからな!』
ボールの中から、みんなが來夢にエールを送る。
良い子に育ったなぁ……。トレーナーとして鼻が高いよ。
『……レイナ、みんな、ありがとう。私、頑張る!』
「うん。行っておいで、來夢」
來夢がバトルフィールドへと戻っていく。
「準備は整ったようですね。ランクルス、怖がらせてしまってごめんなさい」
『悪かったな、嬢ちゃん。つい楽しくなっちまってよ』
『……ちょっとビックリしたけど、大丈夫』
來夢の表情がスッキリとしている。もう迷いは消えたみたい。
「待たせちゃってごめんね、スモモちゃん。
続きを始めよう!」
みんなからの声援を力に替えて――。
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