02
「ふあ〜、ぁふ……。おはよ、みんな……」
大きなあくびを零した私に、全員が"おはよう"と返してくれる。
「でも珍しいね、レイナが1人で起きてくるなんて」
「んー、何か昨日夢見が悪くてさ。あんまり寝られなかったんだよね」
「どんな夢見たの?」
純粋な瞳で聞いてきた笑理に、私は苦笑いを返すことしか出来なかった。
昨晩見たのは、あの荒野の夢だったから。
とてもじゃないけど、ピュアトリオ(來夢、焔、笑理)に聞かせられる内容じゃない。
……って、あれ?
「そういえば、焔と勇人はどこに行ったの?」
「朝食前にトレーニングをすると言って、バトルフィールドに行った」
「トレーニング……。朝から元気だねぇ」
まぁ大方、勇人が言い出して焔が付き合ってあげてるんだろうけど。
「そうだな。
來夢、笑理、2人を呼んで来てくれないか?」
「はーい」
「分かった」
仲良く部屋を出て行った2人に、思わず頬を緩ませる。
やっぱり女の子同士、気が合うんだろうな。
"友達"っていうよりは、"姉と妹"って感じだけど。
隣に誰かの気配を感じて視線を投げると、いつもより真剣な顔をした誠士が私を見つめていた。
「どうしたの? 私の顔に何か付いてる?」
「いや……。昨晩見た"夢"というのは、私たちには話せないものだったのか?」
核心を突いてきた誠士の言葉に思わず顔が強張る。
心配させたくなくて隠しているつもりだったけど、彼には通用しなかったみたいだ。
誠士の目を見ていると全てを見透かされてしまいそうで、私は降参の意味を込めて両手を上げた。
「楽しい夢じゃなかったのは確かだよ。何でそんな夢を見たのかも分からない。
でも大丈夫。たまたま見ただけかもしれないし、気にしすぎても仕方ないからさ」
誠士は"腑に落ちない"
って言いたそうな顔をしてたけど、すんなりと身を引いた。
「そこまで言うなら……。だが、1つ言わせて欲しい。
1人で抱え込むことだけはしないでくれ。皆には話せなくても、私が相談に乗ろう」
「……うん。ありがとね、誠士」
会話が終わると同時にバトルフィールドから4人が戻ってくる。
いつの間にか擬人化していた勇人に驚きつつ、朝食のサンドイッチを頬張った。
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