08
『そのようですね。
分かりました。あなた方を信じましょう』
ムウマージは私たちに、このロストタワーについて話してくれた。
ロストタワーは死んだポケモンの魂を祀るために作られた塔であるということ。
そして、このタワーの最上階であるこの場所にはポケモンとトレーナーの思いや願いが詰まった場所であるということ。
『しかし、いつしか人間の間で"ロストタワーにお宝が隠されている"と噂されるようになってからというもの、人間が夜に出入りすることが多くなりました。
ここに置いてある写真はトレーナーたちの思いが詰まったものです。
私は最上階へやってくるトレーナーに幻覚を見せることで、この場所を守ってきたのです』
「そうだったんだ。
あれ? じゃあ、何で私たちは入れてくれたの?」
『階段で驚かせた後に追いかけたのですが、お2方の走るスピードが速かったので幻覚が間に合わず……』
「『え』」
マジか……。火事場の馬鹿力(?)ってすごい。
「じゃあ、私たちはもう帰ろうか。あんまり長居しちゃうのも悪いし」
「そうだね」
「そろそろ帰らないと遅くなっちゃう」
「宝物が何なのかも分かったし、満足だよ」
「明日にはズイタウンを出発するからな」
『ふわぁ……。眠くなってきちまった』
夜に全速力で走ったせいか、ぶっちゃけ私も眠い。
「ムウマージ、この場所のことは胸の内に留めておくことにするよ。
同じポケモントレーナーとして、大切なパートナーのことを思うトレーナーの気持ちを踏みにじりたくないからさ」
『そうしてくれると助かります。ありがとう』
ムウマージに別れを告げて、ロストタワーを後にする。
ロストタワーにいるポケモンの魂たちが安らかに眠ることが出来ることを、私たちは祈りながら眠りについたのだった。
翌朝、ポケモンセンターを訪れたムウマージに寝起きドッキリを仕掛けられるのは、また別の話……。
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