04


あのあと遺跡内部の他の部屋を色々見て回って、散々道に迷いながらも遺跡の外へと出た。

その頃にはすでに真っ暗で、空には月が浮かんでいる。

「うわ、真っ暗! 月が出てるよ」

「本当だ。ずいぶん長い間遺跡の中にいたんだね、私たち」

ズイの遺跡を後にしてズイタウンに差し掛かった時、2人の男の子が歩いているのが見えた。

年の瀬は、私と同じくらいかな? 何してんだろ?

「ねぇ、こんな暗い中どこに行くの?」

「ロストタワーに行くのさ」

「ロストタワー?」

ロストタワーってあれだよね。

ヨスガシティとズイタウンをつなぐ道にある搭。

あそこってポケモンのための墓地だって言うけど、お墓参りに行くような雰囲気じゃないよね。

「ロストタワーに何かあるの?」

「肝試しと宝探しってとこかな。
ロストタワーの最上階には昔からお宝が隠されてるんだって。
今までに何人もトレーナーが挑戦してきたけど、宝を守ろうとする幽霊に追い返されたんだ。
だから友達とも話して、俺たちが最初の成功者になろうって言って挑戦することにしたんだよ」

「へぇ」

「君もポケモントレーナーなら挑戦してみると良いよ。
けど、お宝を見つけるのは俺たちだからね」

「じゃ!」

2人の男の子はロストタワーの方へ歩いていった。

「宝探しかぁ。面白そう! ね、レイナ!」

「う、うん……。ソウダネ……」

「どうしたのレイナ? さっきよりだいぶテンション低いよ?」

「だ、だって幽霊って……」

実は私、ホラーの類が大の苦手。

相手がゴーストポケモンなら多少は大丈夫だけど、幽霊となると話は別だ。

「私たちはポケモンセンターに帰ろうか。外もだいぶ暗いし」

「えぇ? 行こうよ、宝探し!
レイナは宝物が何なのか気にならないの?」

「そりゃ気になるけど……。
普通の宝探しならまだ良いとしても、肝試し付きっていうのは……」

正直、幽霊と鉢合わせなんてしたくない。

『できれば俺も遠慮してぇな。幽霊とかそういうの無理なんだよ』

あらま、意外。勇人もホラー系ダメなのね。

「ほら笑理、勇人もこう言ってるんだし。私たちはポケモンセンターに帰ろう?」

「あたしは行きたい! 來夢たちは?」

「私は、1人にならないんだったら良いよ」

「僕も宝物は興味あるかな」

「私はもともと洞窟暮らしだったから、暗い場所には慣れている」

くっ……! 味方が勇人しかいないだと!

「それに、明日にはズイタウン出発するんでしょ?
やるなら今日しかないじゃん! ねぇレイナ、お願い!」

「うぅっ、分かったよ……。でも、肝試しは今回限りだからね!」

泣く泣くロストタワーへと行くことになってしまった。

えぇ、おねだりに弱いのは自覚してますとも!


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