03


『着いたぜ。ここがズイの遺跡だ』

「わぁー。やっぱり大きいね」

勇人に道案内してもらいながらズイの遺跡にきた私たち。

やっぱり、遺跡というだけあってかなり大きい。

「何があるのかなぁ?」

「レイナ、早く入ろうよ!」

「うん、じゃあ行こうか」

遺跡に入ってから数十分――。

私たちは一際大きな部屋がある場所にたどり着いた。

「見て、レイナ! 壁に何か書いてあるよ」

來夢の声が聞こえる方にライトを向けると、確かに壁に文字らしきものが書かれていた。

これってもしかして……。

「……何て書いてあるんだろう?」

「これ……文字だよね?」

「うーん……読めない。誠士は読める?」

「……読めないな。こんな文字は見たことがない。
足型文字だったら、まだ読めたかもしれないが……。レイナはどうだ?」

「たぶん、この文字はアンノーン文字だね」

『読めるのか、レイナ!?』

「アンノーン文字とは……?」

「アンノーン文字は、その名のとおりアンノーンっていうポケモンの形をした文字のこと。
アンノーンは人間が使う文字に似た姿をしてるんだ。
歴史ではアンノーンをモデルに文字が出来上がったって言われてるよ」

アルファベットを読む要領で壁画の文字を解読していくと、こんな一文が書かれていた。



"すべての命は 別の命と出会い 何かを生み出す"



昔の人が残した言葉って、何となく興味をそそられるというか……。

共感出来るものが多いよね。

「レイナ、すごいね!」

「確かにな。学者を目指すのも良いんじゃないか?」

「お、大げさだよ2人とも。私、学者目指せるほど頭良くないから」

単純にローマ字読みするだけだもんね、私の感覚では。

「でも、どういう意味なんだろうね?
"すべての命は 別の命と出会い 何かを生み出す"……か」

「それは私にも分からないよ。考古学的に解明してるわけじゃないからね。
とりあえずは頭の片隅にでも置いといて、ある時に何かがきっかけで"このことだったのか"って気付く。
今はそれで良いんじゃないかな」

先人の知恵や教訓はいつまでも受け継がれていくもの。

私たち後世に生きる人間がそれを忘れなければ、消え去ることはないのだから。


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