承太郎の頭を名前はそっと撫でる。夜空も白ばみ月が今にもかき消えそうな頃に獣の喰らいあいは終わり承太郎は眠りに落ちた。

やっとここまで来れた、名前は順調な調教に人知れず笑みを浮かべた。逃がしてなるものか、この美しい男を縛り付けるのには力も情もまだ弱い。いつかこの首輪を解いても家族のためだなんて大義名分を与えずともわたしの側に戻ってくるようにしないと。生理現象も何もかもが欲しい。そのために名前は大変な努力を重ねたのだ。

さすがに酷い?承太郎が可哀想?そんな筈はない。だって名前をここに縛り付けて、生かしているのは承太郎なのだ。

エジプトでDIOとの戦いで名前は致命傷を負っていた。後ほんの数分放っておけば死ぬほどの出血量。逃がした承太郎が見えた時は幻覚だと、今際の際の夢なのだと思った。だから名前は、わたしは本心を伝えたのに。その幻はダディの首を持って、ダディの血がわたし、に…




…どうもまだ承太郎の血に酔っているらしい。でもあのまま殺しておくべきわたしを化け物にしたのは承太郎なのだ。あのままいっそ親愛なる父親と死んでしまいたかったのに、醜い少女になるなら無垢な夢見る乙女でいたかったのに。現実に引きとどめたのも全部全部承太郎なんだから。

わたしを生かした責任、取ってもらうんだからね。


「ふふ、承太郎…あいしてるわ」

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