( 2015/04/22 23:34 )
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暇だった。暇すぎて死んでしまいそうだった。ぐでんと広い社の床に転がりながらなにもすることがないと呟いていればコロコロと兄から強奪した水晶が転がってきた。

「・・・」

水晶を手に取り頭にのせる。落ちないようにバランスを取りながら乗っければ、水晶は見事空翠の頭の上に乗っかった。

「よっしゃ!」

一人でガッツポーズをしながらゆっくり歩き始める。水晶を落とさないように、まるでランウェーを歩いているモデルの気分で歩いていた。私はモデル!アメリカントップモデルよ!なんて訳のわからないことを叫びながら歩く。

が、すぐに飽きた。

水晶をコレクション棚に置き次は何をしようか頭を捻らせる。そしてすぐそばに合った刀を手に取り構えながら

「やーやーやー我が名は空翠ーー!兄は稲荷の占い神!姉(?)は京都の大妖怪ー!」

と叫んで刀を投げ捨てた。
むすっとした顔でいろんなモノを漁るがつまらない。つまらない。つまらない!と叫んでいれば突然部屋の中に何かが入ってきた。

綺麗な色の魚だった。キラキラ光る魚が、空を泳いでいるのだ。どんどん増えて入ってくる魚に目をキラキラさせていれば「これだけじゃ暇かの?」と凛とした声が響く。声の方を振り向けばにっこりと微笑んだ兄弟の姿

「紅星おねぇ!」
「久しぶりじゃの空翠」
「いつから居たの?」
「ランウェー辺りから」
「始めっから?!」

恥ずかしい姿を見られたと頭を抱える空翠の頭を撫でながら紅星は指を動かす。そうすれば部屋の中が水に溢れまるで水の中にいるような感覚に陥る。その中で魚が動き空翠に近寄ってきた。

「おねぇの幻影、いつ見てもすごい」
「空翠も頑張ればこれぐらい出来るでありんす」

ふぅ、と煙管から口を離し、扉に向かって息を吹き掛けるとそこから怒りの形相をしたもう一人の兄弟が現れた。

「月緋兄様」
「紅星・・・貴様・・・」
「あっちはただ空翠の暇を潰してやっただけでありんす」

空翠の暇を潰すだけで私を攻撃したのか!?と月緋の怒鳴り声が社に響いた。意味が分からず首を傾げるがまぁいい。久々に兄弟三人が揃ったのだ。ニコニコと笑いながら二人の兄弟の怒号を聞き、魚と戯れていた。
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モドル
(C)彼女の椅子

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