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見つめてハニー



世界で私だけを愛して欲しいという女性の方々にはこちら!

今も昔もこれからも愛され続けるイケメン!魅惑のセンター分け!そして何より賢い頭脳と明るい性格、尋常じゃないほどの身体能力を持ったこちらの男性こそ!まさに、リンクなのです!今なら心の隙間につけこむだけであっさり彼を手に入れることが出来ちゃうぞ☆

しかもなんとなんと、ハイラルを救った勇者だということで、元気で美形の強そうな子供を育んでいきたいという方にも断然おすすめです!


「っていう宣伝をしたってもう遅いんだよね」

「何が?」

「いやなんでも」


ぶっちゃけた話、心の隙間につけこめばリンクはあっさり誰の手にでもおさまっていただろうと思う。

それは別に軽い男だとか、そういった意味ではない。彼の酷く辛い人生はあっという間に彼の心に隙間をつくってしまうのは当たり前だし、逆に私が知っている彼の人生の中で笑顔で生き抜くことが出来るのは人間の中にはいないと思う。どれくらい辛いかっていうと、世界中の過酷で残酷で卑劣で苛烈な話を全部圧縮したような感じ。まさに修羅を乗り越えてきた男。それがリンクなのである

リンクは人に忘れられることをどうしても怖がっていた。

それは誰が悪いわけでもないし、強いて言うならハイラルに関わる神から王族から全部リンクが苦しむ原因となっているわけだけれど、まぁでも神様なんて相手にしてたらこちらが無駄に疲れて悲しくなるだけだし、憎むだけ無駄だ

リンクの人生において、ハイラルを救ったにも関わらずそれがなかったことになっているのと、誰の記憶にも残っていないという絶望と、誰にもがんばりを認めてもらえないという寂しさというのはほぼ大半を占めている。なので、彼の心につけこむのならば、これから先ずっと何があっても自分を忘れないような、そんな人間になればいいのだ

そうすれば簡単に彼なんか手に入ると思う。


「何考えてるの?」

「この前結婚したって言ってた友達のことかなぁ」

「男?」

「男だけど友達だよ」


まぁしかし、それは“リンクを決して絶対に忘れられないような人間”になれたらの話だが。

リンクは時と世界を超えて旅をしていた。もちろん一般人がそんな彼についてなんていけるはずもない。よって、彼を完璧に覚えておくというのはまず無理な話であるし、まずそれが奇跡的に出来たとしても一途な彼は私に夢中らしいので、彼が他の女に振り向くなんてことはこれから一生ずっとないだろう

一途なのはいいことなんだけど、ちょっと愛が重いのがたまに傷

だからこそ自分だけを愛して欲しい女性にはぴったりなのだ。私?私は人並みに愛情が欲しい人間だよ。今なんとか彼の束縛から逃れている状態だけれど、それも長くは続かないだろうね


「友達でも考えるなよ」

「ごめんねぇー!急に頭に出てきたもんだからぁ!ついねぇ!」


茶化すように言ってやれば、リンクはむっとした表情を浮かばせる。これはいつもの日常。なんだかんだ言ってリンクをからかうのは楽しいんだよ。


「・・・・・じゃあなまえの頭潰す。それなら他のこと考えられないだろ?」

「ごめんマジでごめんリンクの気持ちなんてこれっぽっちも考えてなかった私が悪かった」


だから頭を潰すのだけはやめよう。お願いだから。そんなことしちゃったら考えられなくなることはおろか、目も見えなくなるし体さえ動かなくなってしまう。ていうか死ぬ。本当にやめてください。私には注意深くソフトに扱ってください

これもいつものことだというのに何故学習しないんだ自分。


「ねぇ、お願いだからさ」

「リンク?」

「他の人の分まで、俺のことで頭いっぱいにしてよ」


何いってんの。もう既に頭はリンクのことで一杯いっぱいよ!