楽しいお遊び



全ては、この一言から始まった









「先生、たまには楽しいコト、しようよ」
「黙れ、須田」

宮田の自室、
外と違い、暖房で暖かくなった室内は、突き刺すような寒さはなく、相対的に人工の暖かさを生み出していた


カーテンの隙間から見える外は、昼間だというのに気温が上がる気配は無く、冬の足音を感じさせる


ゴロゴロと宮田のベッドに転がる須田の姿は、どこからどう見ても冬休み中の倦怠感を纏っていた


「えー、良いじゃん、せんせー」


ブーブー、と子供のように口を尖らせながら、須田は机に向かい合う宮田に対して、抗議の色を表す


「私が仕事中なのが見えませんか」


ハア、と溜め息をつきながら、宮田は椅子を回転させて、ベッドに寝転がる須田と向かい合った



「まあまあ、良いじゃん」



向かい合った宮田にニコニコと笑いかけながら須田はベッドから下りた
宮田は須田に対して警戒の色を見せた



「私の話を聞いてましたか」
「まあまあ」



宮田の警戒など興味も無い、というように、須田は宮田をベッドに縫い付けて、シーツに皺を作った

押し倒された宮田は抵抗をしてみるが、須田の方があいにくと力が強い
情けなくもがく事になる


須田の方は既にやる気に満ち溢れていて、それを見て宮田は小さく溜め息をついた


「ワガママですね、アナタは」


困ったように呟くと、須田が子供のように笑う


「それだけが取り柄だからね」


言いながら、口づける
柔らかい宮田の唇を舐めてから、深く舌を入れる


「ふっ………ん…」



鼻から漏れる宮田の甘い声を堪能しながら、逃げる舌を絡ませて、服を脱がしていく


真っ白で、陶磁器のようにキレイな宮田の肌が、暖かい部屋に晒された

キレイだなあ、などと思いながら須田は宮田を眺める

次第に息苦しくなってきた宮田は、力弱く須田の胸を叩いた


仕方なしに須田は口を離す


「はっ……」


宮田はやっと解放された唇で浅く呼吸を繰り返す
酸欠で涙目になりながら、ボーっと須田を見る
涙のせいで顔は見えなかったが、宮田にとっては、須田の表情など容易に想像できた


「あ、そうそう、で、楽しいコトなんだけどさ」


思い出したように須田は自分の服のポケットを探って、中から長めの縄を出した


「よいしょっ、と」
「………?」


ニコニコとしながら、自分の手首を縛っていく須田を見ながら、
酸素が足りず回らない頭で、何をするのか考える


「ちょっと待っててー」


そういってベッドから立ち上がって自分の鞄の中を探る

鞄の中から、紙袋を出すと、須田はそれをぶら下げて再びベッドに戻ってきた


「おい、須田、何を……っっ」


やっと覚醒した宮田が問いかけようとしたが、須田が手に持つ物を見て、言葉を失った


「淳に貰っちゃった♪」


上機嫌で言う須田の手には、男性器を模した道具

さすがの宮田もそれを見れば何をするかなんて、一目瞭然だった


「須田っ!!………っ」


思いっきり睨んでやれば、さすがの須田も一瞬怯んだが
しかしよくあることだから、慣れていたのだろう
気にせず宮田の後ろに指を入れた



「はっ………ぅ…」


胸の飾りを舐めながら、解してやれば、宮田はつらそうに眉根を寄せた


「たまにはこういうのも、良いじゃん?宮田先生」


そういって須田は無邪気に笑った



やることは無邪気では決してないが





「せんせー、入れるよー」
「ひ……ゃめ………っ」


なんとかして逃げようとするが、縛られてはかなわない
簡単にベッドに押し付けられてしまった


「せんせ………入ってるの、わかる?」
「く………ふ…ぅ…………………」


ゆっくりとバイブを入れながら、宮田に優しく問いかける


「はっ……っの、変態!」


悪あがきとばかりに、宮田が罵ると、須田は目をぱちくりさせながら宮田を見つめた


(かわいいなぁ)


涙目になりながら、そんなことを言ったって、ただ須田を煽るだけなのに、必死に抵抗する宮田を可愛く思う


「けど、変態と付き合ってる先生も大概、だよね?」


それでも一応反論をしておくと、宮田の顔は耳まで赤くなった


「くそっ……ふっ…―っ!」


良いところを擦られたのか、宮田が目を見開く

それを見てから、須田はリモコンのようなものを宮田に見せた


「これねー、動くんだよ」


宮田に笑いかける
しかし、宮田は目の前の快感で一杯いっぱいなようで見る余裕など無かった
しかし、須田にとっては宮田が見ていようが無かろうがそこはあまり重要ではない

宮田に構わず、スイッチをオンにした


「…っ、ぅぁあっ!!?」
「きもちい?」


突然の刺激に宮田は大きく目を見開いて、涙を零した


「ゃ、須田っ!!……やめっ!!」


いやいやと首を振って必死に止めさせようとするが、無情にも須田はベッドから立ち上がった


「先生、オレ淳に用事あったの思い出したから行ってくるね」


須田はそういうと、またバックをごそごそと探った


「これ、ついでに」


そういって、宮田の視界を黒い布で奪った


「待っ、須、田っっ!うぁっ………んぁぁっ!!」


暗い視界で必死に須田を呼ぶが、額に柔らかいものが当たっただけだった


「じゃ、行ってくるね、先生」


そう言って須田は出て行った






「ただいま、先生」


外出から二時間、気付けば空には夕焼けが広がっていた
須田が中にはいると、精液の青臭さが部屋を包み込んでいた


「ふぁ………ひっ…ぁ…す……だ…?」


ベッドには精液でグチャグチャになった宮田がいた
何度もイったせいか、宮田自身から流れ出る精液は色をほとんど失っていた
二時間ずっと声を上げていたのか、出された声はかすれて、疲れきった雰囲気だった


「せんせ、何回イった?」
「し、るかっ……ぁう……ひっ……」



須田は近づいてシュルリと、隠していた布を取る

真っ黒の瞳は、布越しからでも分かった量の涙でグチャグチャになり、
宮田は焦点の合わさらない目でボーっと須田を見た


「えー、せっかくなら数えてくれれば良かったのに」


大げさに肩を落としながら、須田はガッカリするフリだけした
宮田の上に乗っかり、首筋を撫でると、ビクリと肩が震えた


「ふぁ………ま、た……ぁ、んぁああっ!!」


体を震わせながら、何度目かも分からない射精をする


顔を上気させて、涙をポロポロと流す宮田は、いつもの『宮田院長』の威厳もプライドも全く無く、ヒドく切なく扇情的だった


「せんせ、綺麗だよ」
「もっ……ゃ、だ…」


素直に誉めてやれば、疲れきった声が返ってきた


「じゃ、一緒にイこう」


そう言って、須田はズボンを脱ぐ
宮田は首をふって答える


「もっ……ムリ…ですっ!!」
「ハイハイ」


須田は宮田の腕を縛る縄を解いて、中から玩具を抜いてやった

解放された腕で須田を抱きしめると、額に軽くキスをして須田は宮田に優しく笑いかけた


「入れるよ…」
「ゃ………めっ…ひっ、ぁぁああっ!」


玩具とは比べ物にならない質量ので中が圧迫されて、宮田は大きく跳ねた


「はぁっ……ふぇ…ひっ………もっ…こあれるっっ!」

「っ、良いじゃん、壊れちゃいなよっっ」



口からだらしなく涎を流して、快楽に溺れる宮田はいつものギャップもあってか、須田を強く煽った

「ぁ……ぅあっ…んっ、は、ぁっ」
「宮田、せんせ」


腰の早さを早めて須田は宮田に深く口付ける


「ひっ、ぁあぁぁっ!」
「っ……」


宮田が達した少しあとに、須田も達した


熱いものが流れてくる感覚を感じながら、宮田は意識の底に落ちていった






「もう、絶対イヤですあんなプレイ」
「えー、なんで?楽しかったでしょ?」


夜、理性を取り戻した宮田はいつもの無感情な声に少し怒りの色を見せながら須田に言った

シーツは新しく替えられ、ピンとしながら須田が座るところにだけシワを作っていた


須田を睨みながら、宮田は服を着る


「楽しいのはアナタだけでしょうが、オレは楽しくない」
「けど、気持ちよかったでしょ?」


ニコニコと笑いながら、須田がいうと、宮田は真っ赤になりながら視線を逸らした


宮田に近づいて、抱きつく


「せんせ、だーいすきっ」
「うるさい、須田」


ニヘラと笑いながら言う須田をボカリとグーで殴って、悶絶する須田を無視して、水を取りにリビングへ向かう須田は、頭を押さえながら呟く


「どこか間抜けだよなぁ、あのひと」


笑って、須田は耳まで真っ赤にさせた宮田の後を追った





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