分かりにくいでしょうが



愛情表現の仕方は人それぞれだ


頭を撫でたり、
抱きついたり、
キスをしたり、
言葉で告げたり、


例え分かりづらい表現でも
愛している者には分かる
それが愛情表現なのだ






夜、宮田は仕事を終えて、自宅までの道を歩いていた

何の問題も無く、平穏に終える1日は時として、人に壊されるものだ

「みっやったっさぁぁぁぁんっ!!」

今回の場合は、静かな羽生蛇村に響く、大きく無邪気な声によって壊された


キーンと耳が悲鳴をあげるのを感じながら、声の方向を宮田は見た


「………うるさいですよ、石田さん…」
「えへへー、宮田さんに会えたー」


不快そうな言葉を無視しながら、石田は宮田を抱きしめる
人並以上に身長の高い石田が、抱きしめると、宮田はすっぽりとはまってしまい、不服そうに宮田は石田を見上げた


「鬱陶しいです、離れて下さい」
「宮田先生………あったかいです」
眠たげにひっつく石田は、まるで大型犬のようだった
べりっとそれを剥がして、宮田はさっさと歩き始める


「宮田先生は、今日はもう、お仕事終わりなんですか?」


小走りで石田が付いていく


「ええ」
「じゃあ、家行けますねっ!!」


無邪気に石田が言うと、見るからに宮田は顔を歪めて石田を見た


「………来るんですか?」
「はいっ」


そんな宮田を気にせず、石田は大きく頷く

はぁ、と宮田がため息をつく
幸せが逃げますよ、と言いながら石田が笑いかけると
宮田はウザイ、と言って早歩きに行ってしまった


こんな素っ気ない態度も、宮田が自分に心を許してるからだと分かっているから、
石田にとっては、何の苦にもならなかった








「宮田さん家、久しぶりに来ますねー」

靴を脱ぎ捨てて、自分の家のように、石田は宮田宅を徘徊する

「ちゃんと靴を揃えて下さいよ」

石田の靴をキレイに揃えて、宮田も自宅に上がる


「何か食べたい物ありますか?」
「酒!」
「却下」


キッチンでリビングにいる石田と会話をしながら、軽い夕食を作る


「どうぞ」


石田の前にミートスパゲティ、自分の前にバジルスパゲティを置く

キラキラと目を輝かせながら、石田がフォークを取る


「いただきます」
「いただきまーす」


宮田と共に手を合わせて、食べ始める


「宮田さんは料理、上手ですよねー」


言いながら、石田は美味しそうにスパゲティを食べていく
一人暮らしの男性とは思えないほどの料理の絶品さには毎度毎度驚かされていた


「……そうですか?」
「はい」
「アナタがいうなら、そうなんでしょうね」


宮田は、少し笑いながら言った


「宮田さん、美味しい料理のついでに美味しいお酒も下さい」
「ダメです」


誉められても、そこは宮田だ
そうやすやすとアル中に酒は渡さない


「宮田さんんんん…………」


スパゲティをいつの間にか食べ終えた石田は、涙目で宮田の方を見る


「…………また、酔っ払いの世話なんて面倒です」
「うぅぅー………」


捨てられた犬のような瞳で、石田は宮田を見る

視線を逸らしながら、宮田は食べ終えた食器を重ねる


「…………」
「おさけ…………」


石田は、しょぼくれながら呟く




「……………」
「……………」





「…………………少し、だけですよ」


宮田にとっては、この目ほど厄介なモノは無いかもしれない






宮田の根負けから一時間

「宮田さん、飲まないんですかー?」

すっかり出来上がった石田と、すっかり疲れきった宮田がいた


「石田さん………そろそろ止めなさい…」


石田が持っていた酒瓶を取り上げて、宮田は溜め息をつく
名残惜しそうに、酒瓶を見ながらも、素直に石田は従う


「宮田さん、好きです」


宮田に抱きついて、石田は言う
自分の方を向かせて、深く口づける


「んっ………ふっ…」
「はっ…宮田さん……大好きです」
「っ……耳元で喋らないで下さい…」


何時もより掠れた低音を耳元で感じた宮田は、小さく体を震わせた


「宮田さん、可愛いです」


ふにゃりと笑いながら、石田が服を脱がしていく


「石田さん……ヤるつもりですか」


ニコニコとわらいながら脱がしていく石田に宮田は尋ねた
沈黙は肯定、石田は答えずに、服を脱がしていく


「明日は早いので、嫌なんですが………って聞いてますか石田さっ………んっ」


抗議の言葉を口で塞いで、石田は宮田の後ろに指を入れた


拒むように押し出す壁を無視して、無理やり侵入する


「はっ……石田さん………酒、臭いでっ、す…」「宮田さん、顔真っ赤」


宮田はもともと酒にあまり強くない
そのせいか、石田の口に残っていた強い度数の酒にすら、酔っぱらってしまった


内壁を確認しながら、宮田が反応する場所を探す


「ふっ…………ぅ…いゃで…うぁっ!!?」



宮田が抗議の言葉を上げるのと同時に、石田は宮田の良い所を擦りあげた

拒むつもりで伸ばした腕は、力無く石田の袖を引っ張り、すがりつくような形になっていた


声を押し殺す為に、宮田は唇をかんだ


「―っ………ひっ…ぅ……」


容赦なく攻めあげられて、どうしても漏れて出す声は、石田の欲を煽った


「宮田さん……声、出して下さいよ…」
「ゃ……で、す…ぁ……っ…」


石田が言うも、宮田は頑として唇を噛み締める


困ったように苦笑しながら、石田は服を脱いで、宮田を抱きしめた


「逆にエロいんですよ」
「――っ!!」



わざと声を低くして、耳元で言うと、顔を真っ赤にしながら、黙れというように宮田が睨みつけてきた

しかし、涙目では逆効果だ


「我慢出来ません、いれますよ宮田さん」
「まっ……―っ!!」


止める前に、石田は宮田の中に自身をいれた

圧迫感で呼吸のできない宮田を、安心させるように軽くキスをすると、ゆるりと腰を動かした


「ぅあ……っ…んっ、はぁっ………ぁ…」


辛そうだった声は、だんだんと艶を帯びてくる


「ふぁっ………ん、はっ………」
「はっ、痛そうですから、止めて下さい」


必死に声を抑えようとしすぎて、血の滲んだ唇を見て、石田は眉を寄せると、口付けた


「ふっ………んっ…ひゃぁっ!!ぁっ……」


唇を離すと同時に、ゆっくりだった動きを早めると、宮田から嬌声があがった

その声に満足げにしながら、石田はゆるりと腰を動かす


「宮田さん……好きです」
「んぁっ!……だから……ぁ……みっ、みもとで………しゃべるなっ!!」


さっきと同じように耳元で低い声を使って囁くと、中が収縮し、反応した

少し酔い気味の赤い顔と涙目で睨まれるのは、刺激が強かった


「っ、宮田さん…エロすぎです」
「はっ………意味がっ、分かりま、せんっ…ぅ………アァッ!……」


腰を早めていうと、宮田は一層強い嬌声をあげた
限界が近い宮田は、石田の目を見つめた


「石田さっ………ひぁっ!!もっ……」
「一緒にイキましょう宮田さん……っ」


石田が宮田を抱きしめる

「ぅぁっ………んぁあぁっ!!」
「――っ!!」


ほぼ同時に達すると、互いに荒い息を吐き出した


石田は、気だるげな宮田を見ていて、また熱が込み上げてきた


「ちょっ、石田さっ……っ…」
「すいません、もう一回だけ」






宮田は心の中で冗談じゃないと叫んだ






宮田宅、しょぼくれる石田と、端正な顔に怒りを浮かべる宮田がいた


「……あれほど止めろと言いましたよね」


宮田が発した声は掠れて、聞いている方も痛々しく感じた


「…………はい」


この世の終わりとばかりのテンションの低さで石田が答える


「結局、何回しましたか」

「…………3回です……」


頭を抱えながら、宮田が溜め息をつく

コップにあった水を一気に飲み干して、ダンと机に叩きつける

石田はビクリと肩を震わせた


今にも人を殺さんばかりの眼光で宮田は言い放った



「石田さん……二週間飲酒禁止ですっっ!」





それは、石田にとって死の宣告も同然だった


「せ、せめて、2日で………」
「殴りますよ」




恋人同士とは思えない話に突っ込む者はこの空間に誰もいなかった






分かりにくいでしょうが





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