不器用双子の




side:牧野


宮田さんが好きで好きで、好きすぎてたまらない


けど、宮田さんは違うみたい


付き合う、というより、彼の気持ちは何とかして、確認は出来たのに、彼はあまり、そういう事をしたがらない


もしかしたら、彼は私に既に飽きてしまったのだろうか


もしかしたら、彼は私をからかっただけなのかもしれない


もしかしたら…………

もしかしたら……



side:宮田

「せんせ、今日はもう、患者さんはいらっしゃらないみたいです」
「そうか、美奈帰って良いぞ」



診察室、美奈が入ってきて、患者がいないことを告げた
美奈を帰らせて、最後のカルテに印鑑を押すと、一息つく




時計を見ると、まだ夕方の5時


今日は仕事がだいぶ早く終わった
神代の使いの仕事もなく、ここまで早く終わるのも珍しいものだった


やることも無かった為、外に出ると、夏のころと違い、既にあたりは暗くなっていた

息を吐くと、白い空気となってあたりに現れて、寒さを感じさせた



「求導師さま!さよーならーっ!!」



子供の元気な声がして、その方向を見ると、前田の子供が手をブンブンと振っていた

目線の先には、求道服を着込んだ、自分と同じ顔の人間が、子供と同様に手を振っていた



牧野さんだ



ボーっと子供を見送る牧野さんの方を見ていると、彼も気がついたようだった



「宮田さんっ、どうしたんですかーっ?」



大声を出しながら、牧野さんが走ってきた



さっきは遠くて、気づかなかったが、手にはオレンジジュースの缶を持っていた


そして彼は盛大に転んだ


そして、手に持った缶を手放してしまった


ビシャ

という音が相応しいだろう


中身は全てこっちに降ってきた



「す、すすすすいませんっ、宮田さんっっ!」


涙目になりながら、牧野さんが土下座する勢いで謝る

びしょ濡れになった服が体に張り付いて気持ち悪い


溜め息をつくすると、牧野さんは一層焦り、右往左往し始めた


「えっと、あの、え、ど、どうしよう……」


ヘタレ求道士で有名な彼は、普段使わない頭で必死に良い策を考え出そうとするも、焦りで何も出てこないようだった



突然、何か思いついたようで、パッと目を輝かせた


「私の家のお風呂を使って下さいっ!!」


彼の考えることは時々よくわからない




side:牧野

宮田さんにジュースをかけてしまったのが30分前、自宅に招いたのが10分前
現在、宮田さんは風呂に入っている



なんやかんやで、宮田さんが、私の家に来るのは初めてな気がする


ドキドキしながら宮田さんが出るのを待つ


ガタンという音と共に、宮田さんが出てきた
何でか分からないけど、正座をしなければいけない気がして、正座をする


「そ、その……すいません……でし…………た…」


あああ、恐ろしくて彼の顔が見れない


……こんなだから、宮田さんに嫌われてしまうのかもしれない…



髪を拭きながら、宮田さんがこちらによってくる


「み、宮田さん…?」






side:宮田

牧野さんを見下ろす

いつもは、こちらが頭を下げてるから少し優越感がある


怒られた犬のように情けない彼を見ていると、前髪が気になった


いつも、きっちりあげられた前髪は逆に見ていて鬱陶しい

グシャグシャと前髪を崩すと、自分とそっくりな顔があって、
こうした方が彼には似合うなんて思ってしまった






side:牧野

「…?」


いきなり前髪を崩された

「どうして普段は上げているんですか」
「え?」
「髪」



一瞬、理解に時間を要したけど、すぐに分かった

前髪はもともと、求道士だから、というのと、
全く同じ顔、同じ髪型というのは、宮田さんが嫌がるかもしれないと思って、上げていた


そのため、彼がこんな事を聞くのは予想外だった


「……崩した方が好きですか?」「どちらも普通です」
「そんな……」
真顔で返されると凹む……


「宮田さん、何か飲みますか?」
「………じゃあ、りんごジュースで…」


とりあえず、まだ機嫌が悪そうなので、飲み物を勧める

今度は転ばないように、ゆっくりと、宮田さんの所へ持っていく



彼の前に飲み物置くと、自分と同じシャンプーの香りがした

まあ、私の家のシャンプーを使っているのだから、当たり前と言ってしまえば、そうなのだけど、何故か嬉しくなる


何というか、そういう気分になった


「……宮田さん」
「嫌です」



……まだ何も言っていないのに、断られた


「ど、どうしてですかっ!?」
「何か、顔がイヤでした」


……バレてた


宮田さんは、もしかしたら本当に私の事が嫌いなのではないだろうか


「宮田さん…」
「っ、止めて下さい」


押し倒して、彼の名前を呼ぶも、抵抗される


どうして、嫌いなのに話してくれるのだろうか


やはり、宮田の姓があるからだろうか


もう嫌われているのなら、何だって良い





side:宮田

牧野さんが暗い



いきなり押し倒された時は分からなかったが、明らかに怒りのようなものがある


「……牧野さん?」


彼の名前を呼ぶのに、全く答えないどうしたんだろうか


「………宮田さんは……私のことが嫌いなんですか…………?」


手を抑えられながら、聞かれる

天井の光が逆行して、牧野さんの顔は見えなかった


「………べ、つに、ふつうです…」





side:牧野

やっぱり、宮田さんは私のことが嫌いなんだ


「…っ、牧野さっ……」

彼を脱がすと、寒さからか体が小さく震えた


「すいません…宮田さん」


嫌いな相手にこんなことをされて、辛いだろうから、先に謝る


「牧野さん……?……っ、んっ!…ふっ」


彼自身に触れると、大袈裟なくらいに体が跳ね上がった


口づけながら、彼自身を抜く
息苦しいのか、宮田さんが力無く、下からドンドンと叩いてきた


「…っは、はぁっ………ふっ、ひっ……やっ」
「何がイヤなんですか、こんなにしといて」


彼に罪は無いハズなのに、つらく当たってしまう


「うるさっ、ひっ……」


睨みつけて、威嚇しようとしたみたいだが、涙目では逆効果だった


「見て下さいよ、これ」


抱き上げて、そばにあった鏡に映すと、彼はカアッと顔を真っ赤にさせた


「…悪趣味です、ねっ……ぁ、くっ………はぁっ」


後ろに指をつぷりと入れると、壁に手をついた宮田さんが、辛そうに俯いて息を吐いた


「宮田さん、見て下さいよ…ほら……」


顎を持ち上げて、鏡の方を向かせる


「ぃ、っや、………っ!!?んぁっ!!」


彼の注意が鏡にいった隙に良いところを引っ掻くと、体が大きく跳ねた


「宮田さん、いれますよ…」
「っ、まきっ、さん………」


宮田さんが涙目で鏡越しの私を見てくる


「うぁっ!!……ひっ、ゃ……はや、ぃ……っ!!ふっ、んぁあぁっ!!」


苦しげに眉を寄せながら宮田さんが言う

構わず良いところを擦りあげると、あられもない嬌声があがった

「ひゃ、ゃ、ぁあっ………ぁ……ぅ…」


宮田さん自身を握り、軽く擦る

「はっ、ぁあ………っ…」

イケそうでイケない早さで彼を攻める


「もっ、まき、の、さっ…ふっ、うぁっ……やらぁっ!!」


グチャグチャと粘着質な音と、目の前にある自身の姿で視覚も聴覚も犯された宮田さんは
涎を垂らして、ポロポロと生理的な涙を流していた


「はっ……イヤ、なワケないでしょう…こんなですよ、宮田さん………」


顔を無理やり下にもっていって、彼自身を見せると、彼が耳まで赤くなって、後ろを締め上げてきた


良いところを擦りながら、彼を攻める



「うぇ、……ひゃっ、ん………く…ぁっ!!」
「イキたいですか、宮田さん…?」


焦点の合わなくなった目と合わせながら彼に聞くと、必死にコクコクと頭を上下に振った


「うぁ、中はっ!!……は、ぁあっ!!ふぁあぁっ!!」


彼の言葉を無視して中に流し込む



疲れきった宮田さんは気絶してしまい、後悔だけが残った





行為から10分

宮田さんの体を綺麗にして、寝かせた後、私は泣き出しそうになっていた





無理やりしたんだ
宮田さんに嫌われるどころか、きっと口も聞いてもらえない




「ん………」



宮田さんが起き上がってきた
自分でも驚くくらい心臓が跳ね上がったのが分かった


「宮田さん……」
「………………」


ぼうっとしながら、私を見てくる宮田さんが怖い



なんと言われるだろうか
人でなし、だろうか
死んでしまえ、だろうか


何を言われようと覚悟は出来ている
「………ですか」
「…え?」


彼の言葉が上手く聞き取れなくて、聞き返す


「どうしてあんな事したんですか?」


宮田さんの言葉には、本当に分からないといった雰囲気があった


「………宮田さんが…私の事を嫌いだって………考えてたら……悲しくなって…」


こんな理由に、きっと彼は呆れているだろう

宮田さんの顔が見れない


「…すいません」




視界がぼやけてきた
…情けない
ヘタレだと言われて当たり前だ



すると、突然グイッと服を引っ張られた

唇に暖かい感触があり、目を見開く


すぐにそれは離れていった


「…いつ、俺がアナタを嫌いだと言いましたか」


そっぽを向きながら、宮田さんが言う
しかし、耳元が赤くなっているのが、丸見えだった


呆然としながら、彼を見ていると、真っ赤な顔で睨みつけてきて、また前髪をグシャグシャにされて、引っ張られた


「ちょっ、み、宮田さんっ!!痛いですっ!!」
「うるさいっ!!」


涙声で訴えるも、宮田さんは構わず強く引っ張ってきた


「じゃあ、宮田さん、好きなんですねっ、私のこと?」

引っ張られながら、宮田さんに聞くと、彼は一層赤くしながら


「調子に乗らないで下さいよ、嫌いじゃないだけですよっっ!」


と言って、私の頭を殴った










たんこぶが出来た





不器用双子の
 



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