嬉し泣きをする貴女があまりにも綺麗で私は泣きそうになった


はい、お電話変わりました。nameです。

あら、珍しいじゃない。仕事中にジェイドの方から電話してくるなんて。

え?今日の夜?…私は終わらせれないこともないけど、仕事の量は貴方の方が倍以上あるじゃない。それに最近残業続きだったみたいだけど、大丈夫なの?

…そう。ジェイドが言うなら大丈夫なのね、わかったわ。それじゃあ今日の22時にね。…ええ、待ってるわ。それじゃ、頑張ってね。


ガチャン

「さてっ!予定変更だわ。急いで書類まとめなきゃ…!」


決して仕事のペースが遅いわけではない彼女はいつもに増してペースアップで仕事に取りかかる。普段なら街にでてカフェでゆっくり過ごすお昼休みも今日は食堂でパンをかじるだけで済ます。

「じゃ、これお願いね」

驚くべきスピードで山とあった仕事を片付け部下に提出を頼む。帰宅の準備をし、椅子の背にかけてあったコートを取りお疲れ様、と同僚や部下に告げて執務室を出る。

「ちょっと過ぎちゃったけど、どうせジェイドもまだよね」

腕にしている時計を確認すると今朝約束した時間より数分後を分針が示す。ちょうど今分針が秒針に追い越されると同時に右にかちっと動き時が進んだのを知らせた。

玄関へと歩きながらコートを羽織り鞄にしまってあったマフラーを取り出し巻き付ける。大きい重みのある両開きドアの両サイドに立つ警備兵に軽く挨拶し片ドアに両手を添えぐっと力を込めたその時、影が掛かったかと思うと体重を預けていたドアが前に開く。

「っわ…!」

支えを失った体は重力に引かれ前へ倒れていく。と思うと後ろから腕が伸び腰をがっと支え体制を整えてくれた。

「大丈夫ですか?」

聞き慣れた声に見ると紳士のスマイルを一つ頂く。

「ドアを開けてくれるのは嬉しいけれど、一声かけてほしかったわ。びっくりしたじゃない」

そう言うと悪びれた様子もなくすみませんでしたの言葉だけ。いつものことなのでnameは諦め行きましょ、と微笑みジェイドの開けてくれたドアから外へ出る。やんわりと穏やかで冷えた風が露出された頬に当たる。室内との温度差に体が身を縮める。ジェイドが横に並び腕を差し出してきたのでnameはそれに甘んじ腕を絡めしがみつくように身を寄せる。

「今日はどんなところ?」

「着いてからのお楽しみですよ」

実に久しぶりな二人きりの外食に仕事後で疲れているであろうのにわくわくとした様子で訪ねるnameに頬を緩ませながらジェイドは答える。楽しみだわ、とにこっと笑い頭を肩に預ける仕草に愛しさを感じ、今日は冷えるというのに寒さが気にならないくらいに心が暖まっていた。



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