「ふぁ…」

夜ももう11時を過ぎたころ、カイナは大きく欠伸をすると前足で目をこする。

「おや、もう寝ますか?」

「んー……」

カイナは後ろ脚で耳の辺りを掻くと、ジェイドにもたれかかった。

「ジェイド、本当に良いのか?俺たちが泊まっても」

そう聞いたのはガイだ。ブランデーのグラスを片手でふらふらとさせながら、ジェイドとカイナのほうを窺っている。

「ええ。それに帰ったところで一人でしょう」

「はは…」

「まあな」

ガイとハイウェルは苦笑いしながら頭を掻く。二人とも大分顔が赤い。飲ませすぎたか、とジェイドはため息をついた。
まあ、クロームがしっかりしているから大丈夫だろう。

「カイナも普段は私と二人きりですからね。多ければ嬉しいでしょう」

「ん?」

「本当っすか、将軍?」

ハイウェルに抱き上げられたカイナはゆっくり頷く。しかし、そのあとは船をこぎ始めた。

「本当に眠いらしいですね」

「しっかしなぁ…。行動は子供そのものなのに」

「統括者らしくない、ですか?」

ハイウェルからカイナを受け取ったジェイドがそう聞くと、ガイたちは頷く。

「それでいいんですよ。カイナは自分が統括者として見られることを嫌いますからね」

そう言いながら頭を撫でると、ぱたりと尻尾を動かした。それを見たガイたちは苦笑する。

「ま、俺たちにとっては恩人で」

「世話のかかる上司」

「俺は旅をした大事な仲間、だからな」

ハイウェル、クローム、ガイがそれぞれ言うと、ジェイドはふっと微笑んで頷いた。

「それでいいんですよ。…さあ、そろそろ寝ましょうか」

片付けはガイたちが引き受けてくれたので、ジェイドはカイナを寝室に連れてく。

そのまま寝床に寝かせようとしたが、爪を突き立てて離れる様子がない。

「……世話がやけますね」

ジェイドはため息を一つつくとカイナを抱えたままベッドに入る。とりあえず、彼女を絞め殺さないようにしなければいけないだろう。

「おやすみなさい」と囁き頭を撫でると、ジェイドも眠りに落ちていった。

「ジェイド、ジェイド!」

翌朝、治ったらしいカイナが、元に戻った嬉しさからやかましかったのは別の話。


2010.12/31
tom-a

* * *


相互記念にtom-aさんから頂きました^^
私的に大好きな要素が濃縮されててすごくおいしい思いをさせていただきました。まさしく萌えの塊です…。そして盛大に笑わせていただきました。統括者らしからぬ子どもっぽさというか純なところと、本編で垣間見える凛々しい様とのギャップがなんともいえません。年末の忙しい中にありがとうございました。本当にこんなに素敵なものを頂いていいのやら…大事にします! これからもどうぞ宜しくお願いします☆

管理人 しゃむ



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