昼食時。カイナはポテトにかぶりついている。ポテト一つであそこまで幸せそうな表情が出来るなら安いものだ。

「…楽っすね、食費」

「まあ、ポテトは安いからな…」

勢いよくかぶりついていたカイナだが、急に「へぶしっ!」とくしゃみをするとコップのほうに駆けていき、頭を突っ込む。どうやら熱かったらしい。

「それで、原因はわかりましたか」

「いえ。特に目立った反応や数値も見えないので、数日経てば治るでしょう」

血液検査などを行ったが、大して目立った数値は出てこない。恐らく、外殻大地降下の影響だろう。

「おかわり!」

カイナの元気のいい声が響く。

おかわりを渡そうとしたハイウェルの手を、クロームはぴしゃりと叩いた。

「もう三皿目です」

そう言うと、つんとカイナと違う方向を向く。しかしクロームもたいがいカイナには甘い。

「……おかわりをいただけますでしょうか」

「丁寧に言っても駄目です」

ぴくりと動いたクロームの肩を叩き、ジェイドはにこやかに言う。それを見つめていたハイウェルが、次の瞬間禁断の一言を口にした。

「将軍、太りますよー」

びしりと固まったカイナは、ふるふると肩を震わせている。

「…ガイ、クローム、そこの三つ編みを押さえておけ」

「え、ちょっ将軍!」

慌てるハイウェル。しかし時既に遅し。

「そぉい!」

猛スピードでハイウェルに突進したカイナは、妙な掛け声と共にハイウェルの鳩尾に頭突きをかました。

「鳩尾…」

「おーい、生きてるかー」

「スンマセン…もう言いません……」

机に突っ伏すハイウェルを尻目に、ジェイドはカイナの首根っこを掴み、布巾で口まわりを拭いてやる。そして抱え上げると――

「ふむ、少し重くなりましたね。太りましたか?」

カイナはぴくりと動いた後、振っても逆さにしても全く反応しなくなる。

「ジェイド」

「冗談ですよ。…おや、カイナ。聞こえてますかー?」

「鬼畜眼鏡……」

楽しそうにカイナに話しかけるジェイド。ガイの呟きには何も言わないでおこう。


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