ルークが好きだった。でもルークはナタリアが好きだった。だから気持ちに蓋をした。 ある日 ルークはルークじゃなくなった。リセットされたかのように全てをなくして。ナタリアへの思いもなくした。だから私は歯止めをなくした。好きでいてもいいのだと、安堵した。 けれど ルークはアッシュだった。やっぱりアッシュはナタリアが好きだった。私は… それでも私は、ルークが好きだった。どういうことなのか、際限く疑問は浮かぶ。この好きの来た場所も行方もわからなくなった。 ルークは言った。 エルドラントで独り、消えてしまう前に。 好きだ。 と、たった一言を残して。 何も言えない私に申し訳なさそうに笑う、その笑顔が貼り付いて離れない。幾日経っても色褪せない。後悔してたんだきっと私は。 ルークがいない。 この刹那も気持ちが迷うことはないのに、その時にはもういない。行き場のない言葉だけが虚空に泳ぐ。 簡単なことだったのに。ルークがくれた言葉が、なにより意味のあることだったのに。 セレニアの花が月の光を浴びる。点滅し続ける光の中に君を見つけたら、もうきっと迷うことはない。 だから駆けた。 だから言った。 言えなかった言葉を伝えたくて。 おかえりなさい おかえりなさい おかえりなさい 「ルーク、好きだよ」 相反する痛み 矛盾した恋か錯覚した恋か それでも君が好き 110203up short top |