豪快に軽快に。膝枕しろだの通り越して抱き枕になれだの本当この人は陛下であって陛下でない。何度悩ませられたかわからない。頭に鈍痛を帯び始める私の返答など聞く前に、彼は有無を言わさず自室に引っ張っていく。

ジェイドもそんな私をみて楽しんでる。助けてと訴える私の目をみて、いってらっしゃい、なんてにこやかに送り出すのも止めて欲しい。グルだ。この二人絶対グルなんだ。

かといって特に。閉めやかに情事に艶めくわけでもなく。何をするかと言えば、陛下…ピオニーはいろんな話をする。そしていろんな話を訊きたがる。他愛もない話。居心地がよくて、正直嫌じゃない。寧ろ彼にそうして部屋に連れてこられるのも…期待してる自分がいる。

そして話し疲れてうとうとすれば、いつの間にかお互いがお互いをくるみ合って眠りについてることもざらじゃない。遊び疲れた子どものようだ。今日もまた同じく。

眠る彼の髪をそっと撫でた。

「貴方にとって…私ってなに?」

素朴な哀しい問いだ。何度目の呟きかわからない。それもそうだ。答えを知りたくない、臆病な問いなのだ。

「心地いい抱き枕」

一瞬ドキリとした。聞かれていた、らしい。そしてその言い種にカチンときて、頭を撫でていたその指で頬を抓った。

「痛て」
「…傷付いた」
「待て待て今のは冗談だ!」

そして普段の調子からは随分かけ離れた秀美な笑みを零して、大切な人、だと口にされたら。驚いたこちらの口は開いて塞がらない。いしし、と歳に合わない子供じみた笑いをして引き寄せられたら真っ赤になった顔を見せたくなくてそのまま彼の胸に埋まってみた。

「よし! 決めたぞ」
「なにを?」
「次に新入りのブウサギが来るまでにイヴを俺のもんにする」

けろりと言い放つこの人はどこまで本気なのだろう。けれど全く悪い気がしない。悪戯を仕掛けたように嬉々と笑うピオニーが堪らなく可愛くて、こちらも負けじと対抗してみればさっき程と反転してしまった状況に、お互いが笑みを零した。

―ブウサギが来るよりも…早いかもしれないよ?

頬に彼の唇が触れた。



可愛い大人
(そうか! 今か!)(それは早過ぎかも)



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