◎甘美/2年S組の憂鬱(戌川+モブ)
「よっ!わんちゃん」
「…………須藤(すどう)」
堂々と俺の席に座っていたのは中等部からの知り合いの須藤一樹(すどうかずき)だった。残念なことに、コイツは女好きのノンケだ。サッカー部にいながら、ノンケだ。鈴葉と距離が近いクセにノンケだ。目覚めることを日々祈っている。
「すずちゃん生徒会にもってかれましたな」
「いい展開だ」
「ハァ?オマエだけだろんなこと思ってんの
オレらのすずちゃんがっ!」
泣き真似をしながら俺の机に突っ伏すが、
さっさと退いて欲しい。
「いつからお前らの……いや、まあいい
それも食える」
「うえ〜ドン引きっすわ〜」
「勝手に引いてろ」
「あんな役員の巣窟大丈夫だろうかっ……!
って委員長も心配してたぜ」
「そうか」
「オマエと同系列のチワワちゃん達は
なんとなく元気ねぇしよー」
「そうか」
戌から犬……というだけで同系列のチワワという表現は未だに理解しかねるが、今聞いた情報はどっちも美味しい。
「そうかってわんちゃんよー去年同室で毎日一緒に来て雅也雅也〜!ってオマエにでれでれしてたすずちゃんが居なくなったんだぜ?寂しくねぇのー?」
「……………そろそろ黙るんだな」
「おっ?図星??図星だろ?」
「うるさいぞ」
「イタタタタ!痛い!ギブ!!ギブギブ!!」
片腕を力の限り捻り上げてやった。
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