「ってことで〜発表は以上になりまーーす!今日はこれにてお開きだよ〜!あ、見事デート権を獲得した生徒のみんなは樋坂ちゃんのところに来てね〜!」


わいわいがやがや、


結局学年別でもSクラスが呼ばれる事はなかった。どれかひとつでも欲しかったなあ


「すみません、」

「!、えっ、あ、はい…!」

はあ、と簡易の生徒会席でため息をついていたら色白の生徒さんに声を掛けられる。綺麗な人だ。

「晃さんの、デート権をもらったものなんですが、」

「あ、あきらさん…??」

「??」

「僕だよ、樋坂君」

ぽんっと肩をたたかれて、キラキラの笑顔全開な副会長が現れた。やばい、ちゃんと名前覚えてないのバレた……。

「今年が景(けい)だったのには吃驚。新入生に譲ってあげるのかなと思ってたのに」

「それも考えたけど……今年、もう最後だし。記念にはりきってみたんだ」

「そう、あんまり派手な注文はしないでくれよ」

「わかってる」


じゃあ、あとは樋坂君に。
とバトンタッチされる。

そうか……俺以外、皆3年生だ。
気は早いけど、もう1年切ってる。
でもそれって……来年……

「樋坂さん?」

「!、あ、すいません、」

「いえ、俺3年S組の小橋景(こばしけい)です。晃さんとは水族館に行きたいんですけど、大丈夫ですか?」

「…水族館─はい。大丈夫です。いつ、何時頃までの予定ですか?」

「日程は来週末で、消灯までには戻ると思います」

「…思います……?」

「!、も、どります」

「分かりました。ありがとうございます。最後になんですけど、出先は水族館だけで、館内を回る。これに間違いはありませんか?」

「………」

「………」

「………」


あれ……?突然黙った……?

ちょっと捲し立てすぎたのかなと反省しつつ、書き留めていた手を止めて顔をあげた。

「小橋先輩……?」

「!、……その、夜は…外食には行くと思います。それだけです」

「分かりました。受理しますので、当日は気をつけて楽しんできてください」

「……ありがとうございます。晃さんにも宜しくお伝えください」

「はい」

「失礼します」


水族館、か〜
小さい頃連れていって貰ったっきりだ。あの二人が歩いてたら綺麗過ぎて魚が霞みそうだけど。


……いや、何考えてるんだ俺。
雅也の趣味でも乗り移った??




mae ato



83/143 / shiori








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