それから何のハプニングもなく、平和に過ごしていたらあれよあれよと週末を迎えついに新入生歓迎会当日。天候には恵まれ会長から開会の挨拶が始まる。


「第59回─生徒会主催新入生歓迎会を始める」

途端にキャアアアアア!会長ー!隆也様〜!ととんでもない声援が送られていく。怖い。

「うるせぇ静かにしろ──簡潔に言う、詳細は配られている紙を見ろ。服装は体操着、鬼は腕に赤いスカーフを巻け、逃げる奴等はそのままだ。範囲は学内すべて。……各報酬の説明は晃に回す。以上だ」


資料に書かれている前半部分をさらっと言っただけでマイクを回した会長。それでいいのかと思いつつ副会長さんはにこやかにマイクを受け取った。

「得点は捕まえた人数、逃げ切った人数の合計、それとボーナスで決める。ボーナスっていうのは僕ら生徒会メンバーを捕まえたクラスにつく点数ね。去年同様僕らを捕まえた人には1日デートができる。好きにしてね」

キラッと王子様スマイルと言われている表情でとんでもないことを言ってのける。生徒はとても盛り上がっているが、好きにしてねはどうかと、どうかと思います副会長!

「あと、得点報酬だけど、1位は食堂無料券1ヶ月分、2位は食堂日替わりデザート無料券1ヶ月分、3位は食堂割引券1ヶ月分。学年別1位のクラスには購買、地下の店で使える割引券半月分」

日替わりデザート無料券か購買の割引券は普通に欲しい。

「最後に、風紀委員には警備にあたってもらうから何かあった場合や見かけた場合は本部に報告するように。巡回中の委員の人にでもかまわないからね」

それじゃあ、と副会長がスタートの言葉を発する。

制限時間は9時から14時だ。先に俺ら生徒会が散ってその5分後に逃げる人、それから15分後に鬼が動けるようになる。

「樋坂ちゃん頑張ろうね」

「えっ、あ、はい…」

「自信なさすぎでしょ!」


走りは普通の俺が5時間も逃げきれる自信があると思うか…!!

どれだけいい隠れ場所が見つけれるかが勝敗の鍵だ。


mae ato



75/143 / shiori








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