そうして数十分経った頃だろうか。とっくに携帯をしまった俊は何も言わずたまに腕時計を確認していたり、俺は少し離れたところにいる二人からの視線を受けたりと妙な空気の中、どたばたと準備室の扉が開いた。
「すいませんっどっちも混んでてっ!遅くな───鈴っ、鈴葉様っ!?!?!?」
「すずはさま…………」
息を切らして入ってきたのは有馬くんと藤崎くんだ。二人して絶句、というか俺を見て血の気が引いている。間違いでなければ彼らが持っているのは俺のお昼ご飯じゃあないだろうか…
俊お前パシったな!?!?!?
「……15分38秒、遅い。鈴葉様がお待ちになられているんですよ」
「す、すいません…………」
「ごめんなさい……」
「いや、あの、えっ、そんな、俊が大袈裟っていうか……あ、ありがとう」
しょんぼりしながら俺がリクエストしたパン全部を手渡される。渡し終わった瞬間何故かすごい勢いで距離をとられたけれど。
「あ、あの、時間が……っ」
「今はカウントされませんのでお好きなように接してくださって大丈夫です。歓迎会前ですし、今一度顔合わせも必要かと」
さっきからカウントだの時間だのなんなんだ……?俺はとりあえず穏便にお昼をとりたい。
「…………えっと、とりあえず、この距離感はどうにかなりませんか……」
俊は斜め後ろあたりに立っているけれど、他の四人が微妙に遠いのだ。とても食べにくい。
「だそうですよ皆さん」
「そっ、それは!隣に座ってもいいってこと、ですか!!」
はいっ!と手をあげて言ったのは有馬くんだ。別に隣に座ってくれようがどう囲んでくれようが普通にご飯が食べれれば何でもいい。そうだよな?
「うん、いいよ」
「!まじ、!あっ、ほんとですか、」
「うん」
「よっしゃ!」
「あっ、佳汰くんってば……!」
どんっと隣に椅子を置いてきた有馬くんに遅れて、おろおろと不安そうな顔の藤崎くんはお手製だろう弁当箱を持って何処に座ろうかと悩んでるみたいだ。
「こっち空いてるよ、」
「あっ、その、、せ、先輩達が……」
そう俊とあとの二人の様子を気にする。そんな座る場所くらいで…………と思うが一大事だったりするのか……?
「いきなり隣とか俺死ぬから藤崎くんが座ってよ」
「右に同じ」
「好きになさってください」
俺って爆弾なの……?
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shiori
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