「…………親衛隊って大変だよなー」

「突然どうされましたか」

「いや、だって、どうやってるかは知らないけど、その人のピンチのときは察知して駆けつけなきゃいけないみたいな?」

正直そういうもんなのかも未だ良く分かっていない。俊は普通よりちょっと思考がヤバいと思うけど、雅也が普段話してきていた物語の親衛隊もまあヤバかったし、実際会長達の親衛隊も影では危ないかもしれない……。

本当に焼却炉に放り込まれてしまった俺の制服。絶賛燃えているだろうその煙を眺めながらなんとなく思ったことを口にした。

「でも、今日は変なタイミングだった」

「……予想外にも俺の役割を取られましたからその後の準備を先にさせていただきました」

「…って、俺にGPSでもついてんの?」

あまりにも所在が筒抜けだ。
ピンチのときは有り難くても普段はやめてほしい。

「いいえ。それは戌川の趣味では?」

「えっ」

「違いましたか」

「……し、知らないし」

雅也の趣味はボーイズラブだったはず。

「─俺は半分は勘ですよ」

「……?、残りの半分は?」

「さあ、なんでしょうね。知りたいですか?」

「っ、!」

ぐいっと顔が近づいてキスされそうな距離に1歩後ずさった。

「し、知らなくて、いい」

「残念です。お昼はどうされますか」

「あ……特になんにも決めてない」


4限目終了のチャイムが鳴った。



mae ato



71/143 / shiori








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