「…………誰…ですか……?」
「…………」
「あ、あの…」
「─テメェ、」
「!っ、わ、あ」
黙っているのも落ち着かないので恐る恐る声をかけてみたら、ぐいっと襟元をひっつかまれて起こされる。その人はしゃがんだのか、さっきより声が近くなった。
「ヤられそうになってるクセして暢気に寝てンじゃねぇぞ」
「……っ、う、、、」
「チラチラ俺の視界に入り込みやがってクソウゼェ」
「す、すみませ……」
「発散できるもんも出来ねぇんだよクソッ」
「っ、」
殴られる…ッ…─と思ったら、しゅるり、と腕と視界が解放された。一瞬何が起こったのか戸惑ったけれど、何度か瞬きをして見えた光景に二度見どころではなかった。
「えっ、、?ええっ……!」
なんとまあ柄の悪そうな不良達がそこかしこに倒れていると思ったら、俺の前にはあの不良さんがいらっしゃるではないか。
「……あ、……え、えーっと……柴麗さん……でしたっけ……?」
あまりの光景に何故だか名前を確認してしまった俺。そのくらいには凄い絵図なのだ。カラフルな床だなぁ……はは……。
「ああ?だったら何だよ。クソ野郎が来たらめんどくせーさっさと消えろ」
「……っ……ご、ごめんなさい……!」
ジロリ─と睨まれて慌てて立ち上がった俺は言われた通りにいそいそと教室をでる。
今のって多分、助けてもらった……んだよな?
「お礼言うの忘れた……」
でもやっぱり、不良は怖い。
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shiori
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